ウブロがカラフルなサファイアのラインナップに氷河のようなブルーを追加。
今回は45mm×14.4mmのMP-11である。 鮮やかなブルーサファイアクリスタルが独創的なこのモデルは、約14日間のパワーリザーブを誇る。実にウブロらしい会心作だ。
ウブロスーパーコピー時計 代引きは2016年に初となるサファイアケースの「ビッグ・バン」をデビューさせた。パープルサファイア、ブルーサファイア、オレンジサファイア、イエローSAXEM(サクセム)、グリーンSAXEM、そして今回のウォーターブルーと、レインボーカラーを揃えるかのようにウブロはサファイアシリーズを一定のペースでリリースしてきた。スイス本社いわく、新作は“グレイシャーブルー”と呼ぶそうだ。私はこれをフェイク“パライバトルマリン(ブラジル原産のトルマリン)”と呼んでいる。
Hublot MP 11 Water Blue Sapphire watch
MP-11は、Cal.HUB9011のプラットフォームとして発表されて以来、いくつかの異なるケース素材が登場している。時刻表示のすぐ下には、直列に連結した7つの香箱を水平を配置し、これにより約14日間のパワーリザーブ機構を確保。パワーリザーブの残り日数は、直列香箱の左端にある表示で確認可能だ。水平に配置された香箱の軸から、時・分表示を制御する垂直の歯車にエネルギーを伝達するために、90度の螺旋状の“ウォームギア”(10時位置)を組み込む必要があった。なおテンプはダイヤルの反対側、2時位置に見える。
Hublot MP 11 Water Blue Sapphire watch
我々の考え
ウブロは、多くの時計愛好家にとって手が届かない、あるいは身につけることさえできない時計をたびたび製造してきた。私は、ウブロが真の魅力を発揮するのは、とんでもない素材や非常に複雑な機械構成で作られたクレイジーなMPシリーズであると主張したい。このような時計は私たちの心のなかの“そこそこ”、“それなり”という中途半端なフォルダの奥にしまい込まれるような味気ないものではない。また、個人的な感情を挟まずに革新性を称える術を私たちに教えてくれる存在である。自分の好みを深く理解するための頭の体操にもなるから、私は審美的にトガったものを見つけるのが好きだ。実際にそれらを身につけずとも、物を評価するスキルが磨かれる。リック・オウエンスのバルーンのようにパンパンに膨らんだインフレータブルシューズとか、巨大なフリフリのモリー・ゴダールのドレスを例に挙げるとわかりやすい。私はそのようなアイテムを着ることはないが、精神的にはそれらを崇拝し、頭のなかでよく思い浮かべている。
Hublot MP 11 Water Blue Sapphire watch
そう、この時計は私向きではない。だが、マンモスサイズのカラークリスタルウォッチの壮大な佇まいは間違いなく私好みだ。その威圧感から、実に高価で巨大な青いG-SHOCKのようにも見える。もしマイアミのナイトクラブで誰かの手首にこのウォーターブルーのMP-11を見かけたら、その輝きに見惚れ、自分がウブロの10万ドル以上の時計を持つ秘密クラブの一員ではないことに密かに嫉妬するだろう。
基本情報
ブランド: ウブロ(Hublot)
モデル名: ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ ウォーターブルーサファイア(BIG BAHG MP-11 14 Days Power Reserve Water Blue Sapphire)
型番: 911.JL.0129.RX
直径: 45mm
厚さ: 14.4mm
ケース素材: ポリッシュ仕上げのウォーターブルー サファイアクリスタル
文字盤: スケルトン
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ウォーターブルーの透明ラバーストラップ、チタニウム製ディプロワイヤントバックル
ムーブメント情報
キャリバー: HUB9011
機能: 時・分、パワーリザーブインジケーター
直径: 34mm
厚さ: 10.95mm
パワーリザーブ: 約14日間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 39
追加情報: 7個の香箱を連結したパワーリザーブ ディスプレー ロール
価格 & 発売時期
価格: 2336万4000円(税込)
限定モデル: あり、世界限定50本
ドゥ・ベトゥーンの新しいDB カインド・オブ・グランドコンプリケーションは、トゥールビヨンを含む8つ以上の機能を備えた驚異的な時計であり、22年にわたる時計製造の革新と達成を、“ドゥ・ベトゥーン”の真髄ともいうべきパッケージに凝縮している。
DB Kind of Grande Complication
そう、これがドゥ・ベトゥーンの新しいDB カインド・オブ・グランドコンプリケーションである。ドゥ・ベトゥーンの新作は、リバーシブルデザインを採用したブランド3作目の時計だ。つまり、ブランドの核となるふたつのデザイン言語(写真下の“コンテンポラリー”と写真上の“クラシック”)を、1本の時計で楽しめることを意味している。パテックフィリップスーパーコピー時計 代引きケースはそれ自体がすでに魅力的な特徴であるが、それが最も印象的な部分ではない。
DB Kind of Grande Complication
この新しいRef.DBK2TV2は、ドゥ・ベトゥーンの技術革新を多数振り返る旅のようなものだ。これらの革新はすべて、機能の数に対して比較的すっきりとしたポリッシュ仕上げのチタン製パッケージ(43.3mm径×13.85mm厚)の中に集約されている。各イノベーションが導入された年を括弧で括るので、ツアーに沿ってご覧あれ。
鏡面仕上げのデルタブリッジを備えた“コンテンポラリー”側には、時・分およびデッドビート秒表示(2011年)がある。文字盤には、2時30分位置に月齢のレトログラード表示(2013年)もあり、さらに約4日間パワリザを誇る自動巻きツインバレル式ムーブメントのパワーリザーブ表示(2004年)もその反対側にある。比較的シンメトリーな6時位置のデザインには、チタン製の超軽量30秒トゥールビヨン(2008年)、温度差と空気透過性に最適化されたホワイトゴールドのインサートが付いたチタン製ヒゲゼンマイ(2016年)、シリコン製ガンギ車、そしてフラットな終端曲線を持つ“ドゥ・ベトゥーン”ヒゲゼンマイ(2006年)が装備されている。このスポーティなパッケージで、多くのコレクターが愛するドゥ・ベトゥーンのより未来的かつ先進的なデザインを体現しているのだ。
DB Kind of Grande Complication
ただし、時計を手首から外して、ケースを中心軸に沿って回転させ(この機能は2021年に導入)、3段階リューズ(押し込んだ状態、巻き上げ、時刻設定)を12時位置から6時位置へと移動させると、ドゥ・ベトゥーンのまったく異なる姿が現れる。
DB Kind of Grande Complication
こちらの“クラシック”文字盤は、ローマ数字の時と、アラビア数字の分を示すシルバーアウタートラックを備える。これは多くのコレクターが好む、よりクラシックな“スターリーバリアス”スタイルのデザインとなっている。より伝統的でありながら、ドゥ・ベトゥーンならではのセンスが感じられる。中央の文字盤にはブルーポリッシュのチタンを使用し、その上から手作業でホワイトゴールドのピンをはめ込んで星を描いている。また、レーザーマイクロミル加工によるパターンに24K金箔をあしらい、天の川のパターンを創出。クラシックなディスプレイには、曜日と月の開口部がゴールドのレリーフで施されたパーペチュアルカレンダー、日付をゴールドのレリーフで施した盛り上がったインダイヤル、そしてうるう年表示を設置している。ドゥ・ベトゥーンの球体ムーンフェイズ表示もこちらのディスプレイにあり、2004年から122年間正確な精度をキープ。さらにブレゲ針には緩やかなカーブをつけて、その立体的な月の上を滑らかに超えるよう設計した。
DB Kind of Grande Complication
この時計は年間に最大5本しか製造されず、販売価格は45万ドル(日本円で約6896万円)である。
我々の考え
20代後半から30代前半にかけて、私は才能豊かな画家であり自分よりも約70歳年上のアーティストと、非常に親しい友人関係にあった。彼に絵画の制作期間を尋ねると、自分の年齢を挙げるだけであった。それは彼の生涯の仕事と経験の集大成であることを意味する。そこでドゥ・ベトゥーンのCEO、ピエール・ジャック(Pierre Jacques)氏に、この時計の開発期間を尋ねたところ、 “22年”という詩的で親しみのある答えが返ってきた。
それと同じことが、今回の新しいDB カインド・オブ・グランドコンプリケーションのふたつの側面についても言える。どちらもドゥ・ベトゥーンの共同設立者であるデニス・フラジョレ(Denis Flageollet)氏のキャリアと業績を、詩的に、なじみ深く、美しく表現している。私はこのブランドの大ファンで、過去に彼らのリリースに触れたこともある。私はもともと、ブランドのよりスポーティなモデルを好んでおり、新作の“コンテンポラリー”側にある鏡面仕上げのデルタブリッジとツインバレルは、私がドゥ・ベトゥーンについて思い浮かべるものの多くを表現している。
DB Kind of Grande Complication
パワーリザーブと月齢表示はその美学とまったく矛盾せず、完璧にバランスが取れていると感じる。DB28 カインド・オブ・ブルー・トゥールビヨンのように、ドゥ・ベトゥーンが歴史的にデルタデザインを採用し、それをさらに進化させてきたことへの真髄とも言える、30秒トゥールビヨンの追加は素晴らしい。残念ながら、手作業で磨かれたブルーチタンの針は、カインド・オブ・ブルーに映えるホワイトの針ほど読みやすくはない。針のブリッジがブルーに塗られ、秒針がブルーに塗られた長いデッドビート秒針(楽しい複雑機構であることは間違いない)であることも相まって、ひと目ではわかりにくい時計になっている。これが私の唯一の批判である(“グランドコンプリケーション”の称号をめぐる潜在的な議論は別として)。
DB Kind of Grande Complication
よりクラシックなディスプレイ(最近ドゥ・ベトゥーンが商業的に大成功しているもの)のほうが、はるかに実用的で読みやすい。私自身も気に入っている。ブルーの“夜空”ディスプレイに映える金色の針に加えて、パーペチュアルカレンダーはひと目でわかりやすく、“スポーツモード”から“ドレスウォッチ”まで数秒で移行できる。マイクロミル加工された金箔ディスプレイは、特にシルバーの時・分リングが施されていることで、地球上で最もエレガントな文字盤のひとつとなる。そのすべてが、ハンターケースの大型クロノメーター懐中時計をほうふつとさせる美しさを時計全体に与えている。これは磨き抜かれたチタンケースと、驚くほどよく調和していると思う。
DB Kind of Grande Complication
ただ本当に最高なのは、その技術をひとつのパッケージにまとめたことだ。(数え方にもよるが)8つの機能をひとつの時計に統合するという技術的かつ歴史的な偉業を差し置いても、43mm径以上で、特に厚さ約14mm(13.85mm)近くの時計としては、これが地球上で最も快適に着用できるものかもしれない。関節のようなフローティングラグは、私がドゥ・ベトゥーンで気に入っているパーツのひとつだ。時計の幅が着用者の手首の上部に対して広すぎない限り、これらのラグを持つどのドゥ・ベトゥーンも完璧にフィットする可能性が高い。またふたつの時計でも足りない場合、慎重に時計を半回転させると、腕のみならずデスククロックとしても使用できる。ひとつ(の超高価な値段)で3つの時計が手に入るのだ。
DB Kind of Grande Complication
基本情報
ブランド: ドゥ・ベトゥーン(De Bethune)
モデル名: DB カインド・オブ・グランドコンプリケーション(DB Kind of Grande Complication)
型番: DBK2TV2
直径: 43.3mm
厚さ: 13.85mm
ケース素材: グレード5チタン(ポリッシュ仕上げ)
文字盤: 鏡面仕上げのグレード5チタン(コンテンポラリー)、ブルーとポリッシュ仕上げを施したチタン、星空に見立てたブルーポリッシュチタンに手作業でホワイトゴールド製ピンを取り付け(クラシック)。ともにシルバー仕上げとレリーフが施された時・分リングを採用
インデックス: 様々なプリントとゴールドレリーフのディスプレイ
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: アリゲーターライニングのアリゲーターレザーストラップ、グレード5チタン製ピンバックル
DB Kind of Grande Complication
ムーブメント情報
キャリバー: DB2529
機能: 時・分・センタースモールセコンド、日付表示、フライバッククロノグラフ、GMT、永久カレンダー、ムーンフェイズ、
直径: 30mm
パワーリザーブ: 約4日間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 3万6000振動/時
石数: 48
クロノメーター: ありなし
追加情報: ムーブメントの部品点数552点、ケースと文字盤を含む部品点数を合わせると751点、手作業でスネイル加工された自動調整式ツインバレル、ポリッシュ仕上げのグレード5チタン製フローティングラグ、二重反射防止加工のクリスタル
価格 & 発売時期
価格: 45万ドル(日本円で約6896万円)
発売時期: すぐに
限定: 年産5本
オーデマ ピゲの新作、サンドゴールド(SG)のロイヤル オーク オートマティック フライング トゥールビヨンを初めて見たとき、ステンレススティール(SS)を見ているのかと錯覚するほどよく似ていた。オーデマ ピゲが発表したばかりのこの新作は、素材を掛け合わせたゴールド合金を使用することで、ピンクとホワイトの中間に見える柔らかい雰囲気を生み出していた。しかし、コンベンションホールの明るいブルーの照明のもとでは時計は純白に見えた。会場のプレス関係者の輪を抜けて私が近づき、少し影がかかって初めて、ケースからバラ色の色調が浮かび上がってきた。“単なる新しい素材”というには、かなり印象的だった。しかし、これは1度きりの経験だ。初見で、手品のトリックを学ぶようなものだと思った。
Audemars Piguet Royal Oak Self-Winding Flying Tourbillon Openworked
オーデマ ピゲスーパーコピー時計 代引きの新作、SGのロイヤル オーク オートマティック フライング トゥールビヨンを2度目に見たときにも、私はやはりSSモデルを見ているのだと思った。ニューヨークで行われた別のプレス向け内覧会で、友人のペリー・ダッシュが日陰で手首に巻いているのを見たのだ。「SS仕様を出したなんてクールじゃないか」と、私は思っていた。そして近づいてみて、「また騙されたなんて……」と恥ずかしくなった。
Ref.26735SGは、ほかの仕様であれば最も注目を集めるモデルになっただろう。確かに私の目にも留まったが、ロイヤル オークを愛する者として、オーディエンスがどのように反応するかは私にも分からない。今回、ジョン・メイヤーが注目株のロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーを披露してショーを持ち上げたのちに、この時計はいわばスペシャルゲストとして登場した。この時計は先述したように、“単なる新素材 ”として脇役に追いやられてしまうという可能性が高かった。だからこそ、私がInstagramに投稿したこの時計の数枚の写真がとても反響を呼んだようで、率直に言って嬉しい驚きだった。
AP Tourbillon Sand
クリスティアン・ハーゲンがバブアーのジャケットを羽織ってポーズを取る。その腕にはSGのフライング トゥールビヨンと思われるものが。
The 26735ST, the basis for the new Sand Gold Flying Tourbillon.
新作SG フライング トゥールビヨンのベースとなったRef.26735ST。
否定的な意見もあながち間違いではない。Ref.26735ST(“ST”はスティールを表す)は、2022年に発表された初のオープンワーク仕様のロイヤル オーク フライング トゥールビヨンであり、このムーブメント自体は新しいものではない。興奮させる要素がそれだけならすぐに飽きてしまうかもしれないが、私の立場からすれば、Cal.2972は決して失望するようなものではない。このムーブメントは、最初からオープンワーク化されることを前提に設計されていることを物語るような、すっきりと明確で意図的な、美しい準左右対称的な構造をしている。フライング トゥールビヨンは、6時位置に誇らしげに鎮座している。オープンワーク化された時計は決して視認性に優れているとは言えないが、幾何学的な模様が針とムーブメントをより簡単に見分けることに貢献している。2022年にはすでにCal.2972はオープンワーク(またはスケルトン)ウォッチのスタンダードを確立しており、瞬く間にこのクラスのトップに躍り出たのである。
Audemars Piguet Royal Oak Self-Winding Flying Tourbillon Openworked in Sand Gold
新作Ref.26735SGで最も注目すべき点は、SGという新しい素材であることは確かだが、色だけがそのすべてではない。数週間前にこの時計について書いたとき、オーデマ ピゲの新しいSG素材はより変色しにくく、長期間にわたる耐久性が期待できるというプレスリリースでの簡単な言及を見逃していた。そもそもローズゴールド(RG)の耐久性を心配する人は(私を含め)多くないが、実はRGは特に繊細で、海水や塩素にさらされると変色しやすい素材だ。この問題を解決しているブランドはほとんどなく、ロレックスとオメガがその例外として顕著である。
また、色がすべてではないと言ったが、それが大きなセールスポイントであることは間違いない。時計製造に使われるゴールドのほとんどは18Kか14Kの合金で、純金にほかの素材を混ぜることで硬度と耐久性を高めている。使用する素材を選ぶことで、堅牢性、硬度、色の変化が生じる。今でこそ、このような混合は綿密に研究され、テストされ、最終製品に影響を与える不純物がないかチェックされているが、1950年代以前は、配合は野放図で自由なものであった。4色のゴールドケース(イエロー、ホワイト、ローズ以外の4色目を言えたら、ボーナスポイントをあげよう)は珍しいものではなく、よく見られるものだった。なお、1950年代以前に製造されたホワイトゴールド(WG)のケース(例えばカルティエ)を見ると、実はロジウムメッキされたイエローゴールドであることが多い。
Audemars Piguet Royal Oak Self-Winding Flying Tourbillon Openworked in Sand Gold
このような独自のカラーミックスは、市場で最高のRGを扱うブランドはどこか(ンン、ゴホン…オーデマ ピゲ)といった議論や、A.ランゲ&ゾーネのハニーゴールドケース(HG)がなぜ特別なのかを語るのが楽しい理由の一端を担うものだ。HGといえば、新しいSGを論じるうえで素晴らしい出発点だ。ランゲのレシピはピンクがかった色合いで、ソフトなイエローがかった雰囲気にあるが、SGはさらにソフトな色調だ。ベージュの色調は、18Kゴールドのケースを強化するために使用された20%の銅と5%のパラジウムのバランスのおかげで、明確にWG寄りに仕上がっている。この新作を見る直前、ミラノのブティックでベージュのディスプレイの前を通り過ぎたとき、私はこの時計に対して「まるでロロ・ピアーナのようだな」と呟いた。しかし、ゴールドのロイヤル オークのように派手な時計と同じくらい“クワイエット・ラグジュアリー”な時計だ。
オーデマ ピゲの素材工学における優位性についての私の認識は、これからも変わることはない。もちろん、ほかのブランドが先んじることもしばしばあった。例えばIWCは、1986年にダ・ヴィンチ パーペチュアルカレンダーで初のセラミックケースの時計を発表し、現在では最もリーズナブルなセラミックウォッチのいくつかを製造している。しかし、オーデマ ピゲはそのほかセラミックやフロステッドゴールドのような素材をブランドアイデンティティと不可分な存在としており、ほかのブランドでは見られないようなセラミックウォッチをファンは熱望しているのだ。オーデマ ピゲが昨年Only Watchから撤退したとき、彼らが提案した時計は基本のベースは同じロイヤル オーク フライング トゥールビヨンだったが、ケースはセラミックでブリッジはブルーチタン製だった。私はこの時計を手に入れるため、オーデマ ピゲに対し「カネに糸目はつけない」とばかりに信じられないほどの努力した複数のオーデマ ピゲの顧客から話を聞いた。しかし、オーデマ ピゲにおける成功はセラミックに限らない。オーデマ ピゲがコンセプト・スーパーソヌリRD#1をテストしていたとき、ブランドは想像しうる最悪の素材、信じられないほど高密度でひどい音がするはずのプラチナを使用していた。この素材を意のままに加工するのは大変なことなのだが、それでも私が聞いたなかでこの時計は最高の音を奏でるリピーターのひとつとなっている。
AP RO Ceramic Only Watch
本作でこのゴールド合金を開発したオーデマ ピゲのパートナー、ラ・ショー・ド・フォンのPXプレシノックス社の功績を称えなければならない。オーデマ ピゲにはゴールドに関する特許はなく、この製品の名称を作ったのは彼らである。それをうまく使った点については、実にオーデマ ピゲらしい。
SGの採用は、ただでさえ素晴らしいCal.2972の美観をさらに向上させた。針とマーカー(WG製)はムーブメントに対してコントラストを強めており、ブリッジはSG調に処理され、ロジウムメッキされた歯車と香箱から際立つ一方で、ケースにマッチしている。そして、これを面白いと思ったのは私だけかもしれないが、ローターには18Kピンクゴールドが使われている。ロジウムコーティングが施されており、まるでホワイトゴールドのように仕上がっている。
Audemars Piguet Royal Oak Self-Winding Flying Tourbillon Openworked in Sand Gold
しかし、最も重要なことは、オーデマ ピゲがこれまで何度も私を騙してきたマジックをどのように成功させたかということである。それを説明する最善の方法は、上と下の実機写真を見てもらうことだ。
私は、すべての画像で一貫した照明と色になるよう、信じられないほどの努力をしている。最初の画像を撮る前に色補正をする照明環境の調整だけでなく、ポストプロダクション(画像編集)に何時間もかけている。どのような反射素材も、その撮影環境に影響を与える。それが光の物理学的な仕組みだ。物理学や写真のマニアの方なら、研磨された金属では、入射角(入ってくる光)と反射角(出てくる光)が等しく、その環境にあるものは何でも色に影響を与える(研磨された金属から90度の角度にあるものは何でも色がかぶってしまう)ことを熟知しているだろう。ロイヤル オークに見られる多くのファセットのように、サテン仕上げされた金属でも色かぶりが目立つことがある。しかし、SGほど撮影時の色ずれを経験した色はない。ブラウンのレザーの上に置かれたこの時計は、周囲のイエローやレッドの色調を弾き飛ばし、オーデマ ピゲの現在のRG合金に近いものに落ち着いたように見えた。
Audemars Piguet Royal Oak Self-Winding Flying Tourbillon Openworked in Sand Gold
しかし、寒い日にこの時計を外に持ち出し、直接冷たい光を当ててみるとどうなったか。硬い光はコントラストや奇妙な影を作り出した。時計の写真を撮るには最悪だが、私が新しいフライング トゥールビヨンに騙され続けている理由がわかるだろう。実際、私がこの時計を持って写真を撮りたいと言ったとき、対応してくれた人物が無意識に近くにあったWGのRef.16204(オープンワーク仕様のジャンボ)をうっかり手に取ったあとで、それが目当てのトゥールビヨンではないと気づいたほどだ。私が正気を失っていなかったことを知り、そのことが証明されたように感じた(同時にとても安心した)。
Audemars Piguet Royal Oak Self-Winding Flying Tourbillon Openworked in Sand Gold
多くの場合、読者諸兄が目にするのは、下の画像のようにゴージャスなロイヤル オークだ。41mm×厚さ10.4mmと、ロイヤル オークの真骨頂(ほかのすべてのロイヤル オークが基準とする39mm×8.1mmのジャンボサイズ)と呼べるものではないが、あながちかけ離れたものでもない。私の約18.5cmの手首には、ジャンボへの(しばしばうんざりするほどの)こだわりがあるにもかかわらず、間違いなくこのサイズは私の体格に似合っている。これこそが私が身につけなければならない時計だというなら、フィット感にも仕上げにも文句はない。しかし、27万ドル以上と噂され、さらに1年に製造される本数が100本以下と推定されるため、誰かがつけているのを目撃することは当面ないだろう。
Audemars Piguet Royal Oak Self-Winding Flying Tourbillon Openworked in Sand Gold
オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オートマティック フライング トゥールビヨンサンドゴールド オープンワーク、Ref.26735SG。直径41mm、厚さ10.6mmの18Kケース、50m防水。SG製オープンワーク仕様ムーブメント、SG製インナーベゼル、SG製アプライドインデックス、夜光塗料付きロイヤル オーク針、フライング トゥールビヨン、時・分表示、自動巻きキャリバー2972、2万1600振動/時、パワーリザーブ65時間。18K SG製ブレスレット、APフォールディングクラスプ。
リスはコラボレーションにおいて豊富な経験を持つブランドだ。持続可能性を重視するブレスネット(Bracenet)との提携から、私たちにとってなじみ深いしゃべるカエルとのコラボまで、ホルシュタインを拠点とするこのブランドは一切の躊躇いもなくユーモラスなデザイン要素を取り入れた製品をリリースし続けてきた。
Oris Kermit
昨年発表されたオリスのプロパイロットX “カーミットエディション”。
この流れは今なお継続しており、オリスはジュネーブ・ウォッチ・デイズの期間中にフランスのプロサッカーリーグ(LFP)およびCNAPEとのコラボレーションで、ダイバーズ65の1000本限定モデルを発表した。オリスは2022年からLFPをサステナビリティパートナーとして迎え入れ、それ以来LFPの公式タイムキーパーを務めている。
les defenseurs l'enfance
the team
スーパーコピー時計代引き 優良サイトCNAPE(フランスの児童保護団体連盟)は子供の福祉問題に取り組む約200の団体からなる連盟であり、同団体によればフランス国内の40万人以上の子供に関わり、影響を与えているという。CNAPEの主な役割は、傘下の団体が直面している問題を代弁するアドボカシー活動を行うことであると私は理解している。
CNAPEはLFPのチャリティパートナーであり、両者は毎年Tournoi des Défenseurs de l'Enfance(直訳すると、子供の守護者たちのためのトーナメント)と呼ばれるフットボールトーナメントを開催している。このイベントは子供たちや福祉関係者にとって楽しい週末を提供するとともに、CNAPEが支援する団体のための資金を調達するものである。今年、オリスはこの10本の時計を寄付し、このチャリティのための募金活動を行う予定だ
LFP Wrist Shot
さて、時計そのものに話を戻そう。今回の限定版はレトロなデザインにインスパイアされたダイバーズ65をベースにしており、過去のバージョンを実際に見たことがあるなら、いくつかの要素に見覚えがあるはずだ。昨年にリリースされた同サイズのステンレススティール(SS)製ダイバーズ65 “コットンキャンディ”の所有者として言えることは、この時計は非常に手首になじむということである。
時計内部にはオリスのCal.733が搭載されている。このムーブメントはセリタSW200をベースにしたものであり、より高価な自社製のCal.400ではなくセリタベースのムーブメントを採用したのは妥当な選択だと思う。特に若い層をターゲットにした楽しいデザインの時計であることを考えると、価格がオリスのラインナップのなかでも手ごろな範囲に収まっている点は評価に値する。販売価格は44万円(税込)だ。
ケースのサイズは38mmと非常にバランスがよく、ヴィンテージ風のダイバーズウォッチとしては理想的だ。厚さは12.8mm、ラグからラグまでの長さはコンパクトな46mmであり、手首に非常にフィットする。数値上は薄型の時計ではないがこの厚さにはドーム型サファイアクリスタルが影響しており、実際のケースはよりスリムに感じられる。この時計においてとりわけ議論の的になるであろうポイントはリベットブレスレットだが、これはダイバーズ65のデザインをまとまりのあるものにしている。ブレスレットは薄いながらも頑丈で、クラスプも目立たず5段階のマイクロアジャストが可能である。
Oris LFP Side Profile
リベット付きのブレスレット。
Oris Bracelet Clasp
クラスプに手書きの文字を刻印すれば、素晴らしい演出になっただろう。
従来モデルではケースバックにヴィンテージに見られるオリスロゴがあしらわれており、ヴィンテージ風のデザインをさらに強調している。しかし今回はケースバックに遊び心ある“les Défenseurs de l'Enfance”のロゴが刻まれ、さらにLFPリミテッドエディションであることと、1000本限定であることを示すシリアルナンバーが記載されている。
LFP Caseback
ダイバーズ65の特徴的なデザイン要素のひとつに、SS製のエンボスベゼルがある。ケース上部のブラッシュ仕上げと組み合わせることでエンボス部分が際立ち、マットなベゼルとのコントラストが美しく仕上がっている。このように単色でありながらも視認性が高く、印象的なエンボスベゼルが実現されている。ベゼルのルックスには若干の遊びがあるが、操作感はシャープで触感も良好そのものだ。
しかしこのコラボレーションを真に特徴づけているのは、やはり文字盤だろう。最近では、“遊び心のある”という表現がイースターエッグのような隠し要素を説明する際によく使われるが、この文字盤はその言葉をまさに体現していると言っていい。オリスは通常あしらっているブランドロゴを大きく逸脱し、子供の手書き文字らしいエッセンスを捉えた書体を採用している。ロゴに加えて文字盤上のすべての印字も光沢のある手書き風のスタイルでプリントされているが、オリスのロゴほど強調されてはいない。“Water Resistant(防水)”の表記は5色に分けられており、各文字盤にこの多色使いの文字をパッドプリントするにはかなりの手間がかかっているはずだ。これは、このトーナメントのロゴに対するオマージュにもなっている。
Oris LFP Dial
Oris LFP Dial Closeup
この時計に採用された光沢のあるネイビーダイヤルは、控えめでありながらも論理的な選択になっている。というのも、この色もまた同トーナメントに特徴的なカラースキームを取り入れているからである。オリスによればこの色は、国連が示す17の持続可能な開発目標(SDGsだ)のひとつを象徴しているという。文章で説明されると少しこじつけのようにも感じられるが、本機の初期のムードボードにおいてこの色が重要な要素として扱われていたことは容易に想像できる。室内において文字盤は滑らかで濃い青に見えるが、屋外に持ち出すと文字盤はたちまち輝きを放ち、ラッカーの下からメタリックな色調がわずかに現れる。この動的な視覚の変化には意外性がある。
ほかのダイバーズ65と同様に立体的なインデックスが文字盤に奥行きを与えており、金属の縁の内側には白いスーパールミノバが充填されている。これにより、ミニッツトラックや多くの文字要素が白でプリントされた文字盤とインデックスが調和している。デイト表示は6時位置に切り抜かれた窓で配置された。私は基本的にデイト窓のある時計が好みだが、今回に関してはそれがないほうがよかったかもしれないと思っている。それというのもカレンダーディスクに印刷された一般的なデイト表示が、文字盤全体のスタイリッシュなテキストと対立しているように感じられるからだ。コットンキャンディモデルでは気にならなかったが、このモデルではデイト表示がないほうがデザインとしてより完成度が高かったかもしれない。もしくはカレンダーディスクの色を文字盤に合わせていても、より素晴らしい結果になっただろう。
Oris LFP
明るい光の下では、光沢のあるラッカーの下にほんの少しメタリックな輝きが見える。
総合的に見て、このオリスのリミテッドエディションは大成功だと思う。遊び心がありながらも過剰になっておらず、毎日つけられる特別な1本になっている。私がこの時計を見せた同僚たち全員が感心していたが、その理由は抑制の効いたデザインバランスにあると考えている。遠くから見れば装飾的な要素に気づくことはあまりないが、近くではそれらのディテールが急に魅力的に映るのだ。こんな時計がオリスのようなブランドから出るとは誰も思っていなかっただろうが、そんなブランドの存在自体をうれしく思うし、デザインの背景に確固たる理由があることも素晴らしいと思う。これは独立系ブランドから初めての高級ダイバーズウォッチを求める人にとってぴったりの選択肢であり、実際に誰かがこの時計を身につけているのを見かける日が楽しみでならない。
オリス ダイバーズ65 LFP リミテッドエディション Ref.01 733 7771 4085-Set。直径38mm、厚さ12.8mm、ラグからラグまで46mmのSS製ケースを採用。ミニッツトラックをエンボス加工した逆回転防止ベゼル。限定モデルならではの特別なディテールを施したブルー文字盤、6時位置にデイト表示窓。スーパールミノバを施した針、ロリポップ秒針、インデックス。内側に無反射コーティングを施したダブルドーム型サファイアクリスタル。1000本限定生産のシリアルナンバー入りSS製ケースバック。自動巻き、41時間パワーリザーブを持つオリスCal.733(セリタベース)。価格:44万円(税込)。
創業から270年近い歴史を持つメゾンにおいて誕生から6年と比較的新しい「フィフティーシックス」コレクションに、初のブラックダイヤルモデルが加わった。ピンクゴールド(PG)製のケースとインデックス、アンスラサイトのヌバックレザーストラップという組み合わせで、シルバーやブラウンダイヤルが主体のコレクションのなかでは非常にメリハリが効いた顔立ちになっている。
40mm径のケースサイズを含めて、新作のディテールはこれまでのモデルを踏襲している。コレクションの着想源となっている1956年発表のRef.6073にならった特徴的なラグ(マルタ十字の4枝をイメージした形状になっている)や、1930年代から1900年代中ごろにかけて多く見られたセクターダイヤルの意匠もそのままだ。ダイヤルは中央部をオパーリン、チャプターリング部をサンバーストに仕上げわけることで、ブラックトーンのなかに立体感を演出。アラビア数字と交互に配されたバーインデックスと針には夜光塗料が塗布されており、リューズを保護するようにアシンメトリーになったケースとともに若干のカジュアルさをプラスしている。
パテックフィリップ コピー価格は公開されていないが、「フィフティーシックス・オートマティック」のPG製シルバートーンダイヤルモデル Ref.4600E/000R-B441が378万4000円(税込)であることを考えると、これに近いプライシングになるだろうと推測している。発売は2024年12月を予定。
ファースト・インプレッション
「フィフティーシックス」は3大雲上ブランドの時計としては(比較的)カジュアルな価格で展開されているコレクションで、記事執筆現在ではステンレススティール(SS)製ケースで3針のアリゲーターレザーストラップモデルを189万2000円(税込)で手に入れることができる。SSモデルでも「オーヴァーシーズ」などはその倍近い価格からの展開であると考えると、2018年の登場当時、「フィフティーシックス」が若い時計愛好家に対してメゾンの門戸を広げる存在となったであろうことは想像に難くない。
そんなエントリーモデルに位置するコレクションだからこそだろうか、「フィフティーシックス」はモダンさとクラシカルさ、カジュアルさとドレッシーさの中庸を狙ったような幅広い層に受け入れられるデザインとなっている(2022年にジェームズが書いたEntry Levelの記事も参照して欲しい)。それにも関わらず、なじみ深いカラーセットであるPG製ケース×ブラックダイヤルがこれまでなかったのは単純に意外だったし、今回満を辞してラインナップに加わるのは喜ばしいことだ。
PGケース×シルバートーンダイヤルと並び、本機は「フィフティーシックス・オートマティック」のなかではドレス感が強いエレガントな取り合わせだ。しかしながら、やや起毛感のあるヌバックレザーストラップによってもう1段カジュアルダウンして見える。またストラップのアンスラサイトカラーはコントラストの強い時計本体の主張を程よく和らげており、フォーマルな場だけではなくデイリーに使いたくなる汎用性の高さも生み出している。もちろん従来モデルにも見られるアリゲーターレザーストラップに付け替えれば、ドレスアップした装いにもスッと溶け込んでくれるはずだ。ちなみにこれまでのモデルも同様に、このヌバックレザーストラップを取り付けることでまた違った表情を見せてくれる可能性を秘めている。定番色の追加となった今回の新作だが、個人的にこのストラップは「フィフティーシックス」コレクションにおける新たな提案になっていると思う。
基本情報
ブランド: ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)
モデル名:フィフティーシックス・オートマティック
型番:4600E/000R-H101
直径: 40mm
厚さ: 9.6mm
ケース素材: 18KPG
文字盤色: 中央部はオパーリン仕上げ、チャプターリングにはサンバースト仕上げを施したブラックダイヤル
インデックス: 18KPG製、アプライド
夜光: あり
防水性能: 3気圧
ストラップ/ブレスレット:アンスラサイトのヌバックカーフスキンレザー、カーフスキンのライニングとクリーム色のステッチ
ムーブメント情報
キャリバー: 1326
機能: 時・分・秒表示、デイト表示
直径: 26.2mm
厚さ: 4.3mm
パワーリザーブ: 約48時間
巻き上げ方式: 機械式自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25
125本限定のホワイトゴールド製ダトグラフ・アップ / ダウン “ルーメン”のリミテッドエディションと、50本限定のダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン・ハニーゴールド “ルーメン”だ。そして今日、ランゲはダトグラフの祝賀をまだ終わらせていないことを示すべく、イエローゴールド製のまったく新しいダトグラフ・ハンドヴェルクスクンストを発表した。通常は“我々の考え”のパートまではリアクションを控えるべきだが、これは本当に素晴らしいものだ。
1815トゥールビヨン “ハンドヴェルクスクンスト”
1815ラトラパント・パーペチュアルカレンダー “ハンドヴェルクスクンスト”
ハンドヴェルクスクンストシリーズは、グラスヒュッテを拠点とするこのブランドが誇る最高かつ複雑な手仕上げと彫刻技術を際立たせてきた、ランゲのフラッグシップコレクションである。2011年に初登場を果たし、1815トゥールビヨン “ハンドヴェルクスクンスト”や、星空のように幻想的な1815ラトラパント・パーペチュアルカレンダー “ハンドヴェルクスクンスト”など、少数限定のエディションがいくつも発表されている。特徴的なサファイアダイヤルと全面夜光のエレメントを備えたルーメンシリーズとは異なり、ハンドヴェルクスクンストシリーズは特定の美学に固執しない。しかし私にとって最も印象的なのはトレンブラージュ装飾が施されたレリーフダイヤルを持つエディションである。
スーパーコピー 代引きこの新作でランゲはダトグラフの深い歴史に敬意を表し、視覚的に最大限の魅力を持たせた時計をつくり上げた。この新作は現行のアップ/ダウンモデルと同じ41mmのケースを採用しており、YG製のメインダイヤルには複雑なトレンブラージュ装飾が施されている。またメインダイヤルにはブラックロジウム仕上げが施されているほか、ライトグレーのロジウム仕上げがされたインダイヤルも特徴的だ。その結果、通常はダイヤルにプリントされる要素がすべてソリッドなYGダイヤルの一部としてレリーフ状に彫刻されており、ほかの部分に施された手彫りのトレンブラージュ装飾と対比をなしている。
ローマ数字やアワーインデックスは植字されているが、タキメーターやミニッツトラックといった要素は、実際にはソリッドなYGダイヤルの一部として浮き彫り状になっている。
この立体的なダイヤルのテクスチャを実現するために、彫刻師は特別に作られたビュラン(刃先が鋭くとがった工具)を使用して、ほかのすべての要素を保ちながらも細かい粒状のコントラストをつくり出した。近くで見ると、特にA.ランゲ&ゾーネのロゴ、ミニッツ&セコンドの目盛り、タキメータースケールのような微細なサイズと角度を持つ要素をレリーフ状に保ちながら、その鋭さを損なわないようにすることはまさに芸術的な偉業である。最後に、面取りとストレートグレイン仕上げを施したあと、インデックスとローマ数字がダイヤルに植字される。
ダイヤルの装飾が注目されるが、もうひとつ重要なのは今回の新作がオリジナルの39mmダトグラフ 403.041(通称“イエロージャケット”)以外で、ごく少数ではあるがYGを使用したダトグラフが久々に登場したことだ。ただその時計でさえもランゲのカタログには正式には掲載されなかったため、存在自体が少し謎めいており、今回の新作と同様に非常に限られた数しか生産されていないと噂されている。この時計がイエロージャケットの存在を暗黙的に認めるものなのか? ランゲはこの点について明確には触れていないが、この新作が熱心なコレクターに向けたさりげないメッセージのようにも思える。
オリジナルの403.041 “イエロージャケット”。Image: courtesy of Phillips
新しいダトグラフ・ハンドヴェルクスクンスト。類似点がお分かりになるだろうか?
本作はダトグラフ アップ/ダウンと同じケースを使用しているが、実際にはアップ/ダウンモデルではない点にも注目して欲しい。2時、6時、10時位置にローマ数字が配置されており、通常6時位置に見られるアップ/ダウンのパワーリザーブインジケーターが取り除かれていることから、このモデルが1999年に発表された初代クロノグラフへのオマージュであると示していると言える。
時計を裏返すと、手巻きクロノグラフムーブメントであるL951.8のメカニカルな美しさが広がる。このムーブメントはHODINKEEでも何度も取り上げてきたが、今回のバージョンが特別なのは、ハンドヴェルクスクンストの原則を継承している点だ。視覚的に最も注目すべきは、ジャーマンシルバー製のムーブメントプレートに施されたフロスト仕上げであり、これは過去のハンドヴェルクスクンストやF.A.ランゲへのオマージュ作品でも多くに見られた特徴である。
今回は、クロノグラフのレバーすべてに手作業でブラックポリッシュ仕上げが施されている。そのため特定の角度ではポリッシュ仕上げされたパーツが真っ黒に見える。これまでのフロスト仕上げのムーブメントでは、レバーの上部は通常サテン仕上げが施されていたが、このミラーポリッシュ仕上げによりムーブメント内部に鮮やかなコントラストが生まれることは間違いない。
最後に、すべてのランゲの時計に見られる手彫りのテンプ受けにもハンドヴェルクスクンストなりにひねりが加えられている。ダトグラフ・ハンドヴェルクスクンストのテンプ受けにはレリーフ彫刻でツタの模様が施されており、これまでの多くの彫刻に見られたフローラルモチーフに遊び心を加えたものとなっている。
このツタのモチーフは、レリーフ彫刻として施されている。
フロスト仕上げのプレートとブラックポリッシュ仕上げのレバーのコントラストが際立っている。
A.ランゲ&ゾーネのダトグラフ・ハンドヴェルクスクンストは25本限定で生産され、すべてA.ランゲ&ゾーネのブティックでのみ販売される。
我々の考え
まだお気づきでない方もいるかもしれないが、私はこの時計を本当に驚くほど美しいと思っている。この意見には多くの読者も同意してくれるのではないだろうか。ランゲのハンドヴェルクスクンストモデルは、まさに見る者にとって特別なものであり、限られた少数のコレクターにしか手に入らない運命にあるが、このシリーズはブランドの技術力を象徴するフラッグシップとして大好きなコレクションなのだ。
ダトグラフ・ハンドヴェルクスクンストは、ドイツ特有の厳格さを最高の形で保ちつつ、その見せ方において驚くほど劇的な要素を兼ね備えている。まさにランゲらしい時計だ。これまでに何度か、ブランドのトレンブラージュ彫刻が施されたレリーフダイヤルを見る機会に恵まれたが、そのたびに感動を覚えた。職人がこれだけの立体的な要素を持つダイヤルを、ひとつも傷つけることなく仕上げるなんて本当に信じられない。だからこそ、私はグラスヒュッテでこれらの時計に携わることなく、キーボードを叩いているのだろう。
この新作は、Watches & Wondersで発表されたふたつの新作を凌ぐかのように、熱心なコレクターのためのものに感じられる。ある意味ではオリジナルのダトグラフを完全に現代風に再解釈したものであり、この時計こそがオリジナルを真に祝うものとして最も近い存在だと言える。
YGのダトグラフというだけで魅了されるが、そこにハンドヴェルクスクンストの装飾が加わることで、その魅力はさらに高まっている。25本限定のリリースであることを考えると、新作は即完売してしまうだろう。ランゲは価格を“要問い合わせ”としているが、昨年のスペシャルエディションの価格を考えると、この時計の価格も相当なものになるだろう。もし究極のダトグラフを求め、そしてお金に糸目をつけないなら、この時計がその答えかもしれない。
基本情報
ブランド: A.ランゲ&ゾーネ(A. Lange & Söhne)
モデル名: ダトグラフ・ハンドヴェルクスクンスト(Datograph Handwerkskunst)
型番: 405.048F
直径: 41mm
厚さ: 13.1mm
ケース素材: 750イエローゴールド
文字盤: 750YG、トレンブラージュ彫刻を施したメインダイヤルにブラックロジウム仕上げ&インダイヤルにグレーロジウム仕上げ
インデックス: アプライド
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: 手縫いのダークブラウンアリゲーターストラップ、YG製ディプロワイヤントクラスプ
ムーブメント情報
キャリバー: L951.8
機能: 時・分・スモールセコンド、アウトサイズデイト表示、クロノグラフ
直径: 30.6mm
厚さ: 7.9mm
パワーリザーブ: 約60時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 1万8000振動/時(2.5 Hz)
石数: 43
追加情報: フロスト仕上げのムーブメントプレート、ブラックポリッシュ仕上げのレバー、ツタのモチーフがレリーフ彫刻された手彫りのテンプ受け
価格 & 発売時期
価格: 要問い合わせ
発売時期: A.ランゲ&ゾーネのブティックにて販売
限定: あり、世界限定25本(シリアルナンバー入り)
時計とアクセサリーの融合は、単なる機能と美の組み合わせにとどまらない。それは時間を視覚的に捉える、新たな表現形態の誕生でもある。時計の持つ信頼性とジュエリーが持つ感性的な輝きが調和し、時を刻むジュエリーとしての価値が生まれるのだ。
今回、のプルミエールが新たに出合ったのはネックレスとイヤホンだ。プルミエールの特徴である美しい八角形のケースはそのままに、レザーが編み込まれたゴールドチェーンを胸元にまで伸ばした。
プルミエール サウンドのシャネルスーパーコピー時計 代引き時計部分と有線イヤホン。
さらにこのプルミエールは有線イヤホンも付属。このイヤホンは、音楽をクリアで豊かな音質で楽しめるだけでなく、通話やボリューム調整、再生や一時停止といった基本操作も簡単に行える機能を備えている。伝統的なウォッチメイキングにモダンなテクノロジーが融合したこのユニークな製品はまさに、芸術品であり、時間を計る道具であり、そしてオーディオ機能を提供するアクセサリーである。
まずは時計から説明しよう。パリのヴァンドーム広場と、香水“シャネル N°5”のボトルストッパーからインスピレーションを受けた象徴的なオクタゴン型ケースは、18Kイエローゴールドコーティングを施したステンレススティール製。ダイヤルはブラックラッカー仕上げで、リューズの先端にはオニキスカボションをセット。内部にはシンプルな2針のクォーツムーブメントが搭載され、防水性能は30mだ。
黒い編み込み部分の上が有線、下がレザーだ。よく見ると質感が違うのがわかるが、ひと目見ただけでは気づかない。
次にオーディオ機能について。特筆すべきは、この編み込みレザーの一部分が有線イヤホンのパーツでもある点だ。ネックレスデザインに巧みに組み込まれており、パッと見ただけでは有線が隠されていることに気づかないほど自然になじんでいる。これにより装飾品としてのエレガントさを損なうことなく、実用的なオーディオ機能も提供しているのだ。
付属のイヤホンとオーディオ端子。
ベースのオーディオ端子はイヤホンジャックで、付属アダプターによりLightning、USB-C端子に接続が可能であり、アダプターを付け替えることでiPhoneやAndroidといったさまざまなデバイスに対応する。さらにケーブルには音量調整、音楽の再生と一時停止、また通話操作が可能なリモコンも搭載。リモコン部分にはマイクも内蔵されているので、イヤホンをつけたまま電話にも応答できる。
ⒸCHANEL
ケーブルとネックレスをつなぐ2カ所の留め具はワンタッチで着脱でき、そのケーブルを取り外せばシンプルなネックレスウォッチとしても活躍する。音楽を楽しむひとときや、特別な場面でのスタイルアップにも、このネックレスウォッチがさりげなくその存在感を発揮してくれる。
シャネルのプルミエール サウンドは、見た目の美しさとオーディオが見事に融合したユニークな製品だ。だがその華やかな外観だけでなく、実際に使用してみると、いくつかの特徴が目立った。まず手に取った瞬間に感じるのは、その重量感だ。ロングネックレスなだけあって、ずっしりとした感触があり高級感を醸し出しているが、長時間首から下げているとやや疲れを感じるかもしれない。
プルミエール サウンドは、時刻を知るツールというよりもファッションアイテムとしての価値が高く、そこに時刻の確認や音楽を楽しむ機能が付加されているので、実際に時計を読む際には少々難があるかもしれない。時計を首から下げた状態で読むと、文字盤を真上から覗き込む形になるため正位置で見ることができない。このため時刻を確認する際には、時計を持ち上げるか針を180°回転して読み解く必要があるがそこはご愛嬌である。
オーディオデバイスとしての観点から見ると、クリアで深みのあるその音質は非常に優れたものだった。どうやらこの機器はアメリカ発のプレミアムオーディオブランドが製作しているようだ。もちろん、私は音楽デバイスの専門家ではないので、技術的な細部に関してははっきりと伝えられないが、私自身が音楽を楽しむ上で、この製品が提供する音質は確実に満足のいくものであると感じた。
また外部の音をしっかりと遮断するパッシブノイズキャンセリング機能もすばらしく、騒がしい場所でも没入感のある音楽体験を楽しむことができた。
遠目からは一般的なロングネックレスにしか見えず、時計が付いているようには見えないデザインだ。
シャネルのプルミエール サウンドは、先進的なアイデアが見事に融合したアイテムであり、そのユニークさはほかに類を見ない。使用されているチェーンは、シャネルのアイコニックなバッグでおなじみの、ゴールドとレザーが交互に編み込まれたデザインである。このチェーンは1987年に初めて発表されたプルミエールウォッチから続くものであり、その伝統を受け継ぎながらも、時計とオーディオ機能を組み合わせた特別なアイテムとなっている。そしてこれは、あくまでこのチェーンネックレスがデザインの主役であり、そこに時計やオーディオ機能が付加されたものである。
これはシャネルならではの大胆な発想と、ファッションとテクノロジーの融合によって生み出されたアクセサリーだ。もし予算が許すなら、私もぜひ手に入れたい。音質がいいため音楽を聴く時間がより豊かになるだろうし、特別な日のおしゃれにはもちろん、何気ない日常にも華やかさと快適さをプラスしてくれるだろう。
シャネル プルミエール サウンド。18KYGコーティング(0.1 ミクロン)のSSケース、26.1mm(縦)×20mm(横)×7.65 mm(厚)。30m防水。高精度クォーツムーブメント、時・分表示。取り外し可能なYGカラーコーティングを施したSS製イヤホン、シリコン製イヤーピース。マットブラックケーブルにブラックコーティングを施したSS製マイク、コネクター、リモコン。ブラックとYGカラーコーティングを施したSS製オーディオジャック(3.5mm)。マットブラックケーブル&ブラックとYGカラーコーティングを施したSS製イヤホンジャックアダプター付属。
「内側に反射防止加工を施したサファイヤクリスタル風防」、「二重安全ガスケット付きねじ込み式リューズ」、「20気圧以上の防水機能」、「畜光塗料付きのインデックス・指針とベゼルスケール」、「逆回転防止型ベゼル」、「ダブルセーフティバックルブレスレット」である。これら6つは、潜水士をサポートするツールウォッチとしてひとつとして欠くことができない安全基準だとタグ・ホイヤーは考える。今年登場したタグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300も、むろんすべてに準拠する。これこそが、新生アクアレーサーが正統的ダイバーズウォッチの流れを汲んでいる証だ。さらに装着感と審美性をより高め、ムーブメントのパフォーマンスも大幅に向上したアクアレーサーの進化は、ブランドとして長きにわたる防水時計技術の研鑽なくしては成しえなかった。
1895年まで遡る、タグ・ホイヤースーパーコピーの防⽔時計製造
スイングピニオンの発明に象徴されるように、創業者エドワード・ホイヤーはクロノグラフ機構の発展に尽力した人物として知られる。それと同時に彼は、懐中時計に防水機構をもたらしてもいた。その一例が、1893年に特許を取得したヘルメティック(密閉)ケースである。裏蓋を固定式とし、ダイヤル側からムーブメントを出し入れできる機構を与えることで、防水化を実現した。
1895年にエドワード・ホイヤー社が特許を取得したヘルメティック(密閉)ケース。
1949年登場のソルナール。
クロノグラフと防水時計のパイオニアはそれらの技術をさまざまなシーンで生かし、進化させていった。1920年代には、スイス・レマン湖でのレガッタレースの公式タイムキーパーを担当し、30年代には5分積算計が備わる防水ストップウォッチ、ヨットタイマーが完成。以降、メゾンの防水技術はヨットレースで磨かれ、海との関係性を深めてゆく。1939年には、クロノグラフ腕時計の防水化を他社に先駆けて実現。メゾン創成期から研鑽してきたふたつの技術が、ここに結び付いた。1949年に登場した6時位置のサブダイヤルで潮の満干時間を示すソルナールは、船員や漁師、ハンターに向けて開発されたという。翌年には、この機構とレガッタ機能とが備わる世界初のクロノグラフであるマレオグラフが誕生。そして1968年からはレガッタ機能を持つ腕時計、スキッパーがシリーズ化され、同じ年にヨット用の高防水ダッシュボードクロック、ナヴィアも開発。こうして船上で磨かれた防水性能は、モータースポーツシーンにも生かされ、1969年、世界初の角型防水時計であるモナコ誕生へと至った。
ホイヤー(当時)はこのように防水技術で時計界をリードしてきたが、意外にもダイバーズウォッチ市場への進出は1978年と他社よりも遅かった。その理由についてタグ・ホイヤーは、「ホイヤーは1950年代以降、時間表示のみの時計の製造を中止し、クロノグラフだけに注力してきたからです」と我々の取材に答えてくれた。ジャック=イヴ・クストーによる映画『沈黙の世界(原題:Le Monde du Silence)』などの影響を受け、レジャーダイビングが普及しはじめた北米市場からの要望でダイバーズウォッチの開発に着手し始めたのだという。
かくして1978年、フランスのサプライヤー・モナン社の協力を得て、ホイヤー初のダイバーズウォッチRef.844が誕生した。その外観はスペック、デザインの両面でダイバーズウォッチの先鋭化が進んでいた当時において極めてレトロ。しかしそれが、多くのファンに受け入れられた。防水ケースはモナコで試みたコンプレッサー式ではなく、量産に向くねじ込み式としたことで戦略的な価格がかなえられこともあり、クォーツショックのさなかにあっても大ヒットを果たした。以降、ダイバーズウォッチがメゾンの屋台骨を支える存在となっていく。
1978年にホイヤー社初のダイバーズウォッチとして登場したRef.844。
この成功を受け、4代目ジャック・ホイヤーは製造をモナン社からスイスへと移管。80年代に入ると、クロノグラフ以上にダイバーズウォッチの開発に注力していった。
ブラックのアルミニウム製ベゼルインサートを備えたものと、SS製ベゼルに指がかり用の6つのタブが備わったものの2スタイルからなる2000シリーズが1982年に誕生。初めてサファイアクリスタル風防が採用され、これに伴い前述したダイバーズウォッチ6大機能が制定された。1984年には、初代Ref.844とその派生モデルを1000シリーズの名で統合。その上位モデルとなる3000シリーズも生まれ、ここで初めて12角形ベゼルが登場する。また同じ年に生まれたスーパープロフェッショナルは、1000mの防水性能とグローブをつけたまま操作しやすい大型ベゼルが備わる、文字通りのプロフェッショナル仕様であった。
1985年にタグ・ホイヤーへと改組されてからも、2000シリーズは3世代に渡って進化を続けた。なかでも第3世代はクラシック、エクスクルーシブ、スポーツの3つのシリーズを展開。それぞれに異なる印象のデザインで、幅広い層へのアピールに成功した。そのなかの2000スポーツモデルが、現在のアクアレーサーの直系のルーツとなっている。同シリーズは、プロの潜水士からのアドバイスによってプッシュボタンをラバーで覆い、海中でもクロノグラフを操作可能とした2003年登場の2000アクアグラフをもって生産終了となった。
そして2004年、2000シリーズの第4世代として2000アクアレーサーが誕生する。新たなネーミングは製品ラインの統一に加え、「タグ・ホイヤーのすべてのコレクションに共通するレースの世界観と、水上性能に焦点を当てることで明確なアイデンティティを生み出す」という戦略から導かれたものだという。さらに、1999年にブランドを買収したLVMHの狙いとして「伝統と革新の融合」という方針も打ち出され、3000シリーズからは12角形ベゼルを、初代Ref.844からはインデックスデザインを継承しつつ、防水性能を200mから今日に続く300mに向上させた。さらに翌年には、メゾンのすべてのダイバーズウォッチをアクアレーサーの名で統合。以降、同コレクションは短いスパンで、世代交代を重ねていく。
2004年登場のアクアレーサー2000。
2010年に登場した第2世代は、500m防水をレギュラー化するなどハイスペックさを特徴としていた。2013年に誕生した第3世代は、クラシックに回帰。2016年にはセラミックベゼルを初採用した第4世代、そして2021年に2000アクアレーサーの外観、およびRef.844のエッセンスを再解釈した第5世代がリリースされた。今回登場した新作に、直接連なるモデルである。ベゼルにはセラミックインレイを用い、ブレスレットのバックルはエクステンション機能を初装備。ラグやリューズの形状はRef.844を参照しながら、ドットインデックスはベゼルと同じ12角形とするなど単なる懐古趣味に陥らせていないのが見事であった。
それから3年を経た今年、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300は、第6世代へと進化を果たした。
アクアレーサーコレクションを見る
時計としての進化を示すように、洗練を続けるアクアレーサー プロフェッショナル300
(上)新作のアクアレーサー プロフェッショナル 300。(下)2021年発表の第5世代。
新生アクアレーサーは、2021年に登場した第5世代の外観を色濃く受け継いでいる。その第5世代は前述したように2000アクアレーサーの再解釈であり、初代Ref.844からの引用のうえに形作られている。それら歴代ダイバーズのヘリテージを、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300は現代に受け継ぎ、第6世代としてアップデートを図った。
前作との明確な変更点は、ダイヤル装飾にある。2013年の第3世代から受け継がれてきた並行に走る横ストライプが、有機的な曲線で織り成す波模様へと改められている。その模様は深く立体感が豊かだが、丁寧にラップ塗装を施しているのであろう。プリント処理であしらったロゴや文字は一切滲みがない。
またフランジのインデックスを0.5秒(0.5分)単位から1秒(1分)単位に簡略化したことで、艶感を高めている。秒針も針全体をオレンジやスカイブルー、イエローに染め上げ、稼働していることがより確実に海中でも視認できるようになった。時針もブランドロゴの盾を象った形状へと変更。この形は、2016年の第3世代に見られたそれを思わせる。それをダイヤモンドカットによる峰型としているのが、なんとも芸が細かい。
ダイヤルのディテールを変更した一方、ポリッシュ仕上げセラミック製ベゼルインレイは、そのまま継承。ドーム型のサファイアクリスタル風防は、2000シリーズから変わらぬ伝統である。
ケースは一見前作と同じようだが、実はサイズは直径が1mm小さくなっており、厚みも12mmにまで抑え込んでいる。ケースが薄くなった結果として時計全体の重心が下がり、装着時の安定感は増している。また小径化により、装着性はより高まった。さらにブレスレットのバックルも、伝統の二重安全ロックと前作からのエクステンション機能を保ったままバックルを大幅に小型化。結果として可動域であるリンク部分が増えたため、よりしなやかに腕に添うようになった。ベゼルとリューズの各側面の刻みも見直され、指がかりしやすく操作性も高まっている。
再びダイヤルに目を移そう。針とインデックス、ベゼルのインジケーターに載せたスーパールミノバ®️は、明所では白で、ダイヤルとコントラストを成す。そして暗所では、分針とベゼルのゼロ位置マーカーはブルーの、ほかはグリーンの光りを放ち、分単位の潜水時間の視認を色の違いで視覚的に明確に切り分けている。盾形となった時針も分針と明らかにデザインを変えたことが、見間違い防止に寄与した。また全3色のバリエーション、その秒針のカラーリングは、どれも深度が高い海中で判別が可能な色が選ばれている。新作において海中での視認性を追求し続けている点からも、アクアレーサーをブランドにおけるダイバーズの軸として認識していることがわかる。
2023年に発表されたマニュファクチュールムーブメントであるCal.TH31-00。
新生アクアレーサーは外観こそ前作をベースとしているが、中身はまったく別物だ。2023年にリリースされたコレクション初のフルゴールドモデル、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル200で初採用した、マニュファクチュールCal.TH31-00を搭載している。その設計を手掛けたのは、2020年にタグ・ホイヤーに移籍した時計界きっての才媛キャロル・カザピだ。彼女はメゾン初の自社製3針自動巻きに高性能なリバーサーを与え、堅牢かつ高効率な巻き上げを実現した。さらに約80時間のロングパワーリザーブと、COSC認定クロノメーターによる高精度を併せ持つ。
パーツ製造と組み立てを担うのは、新進の高級ムーブメント製造会社AMT。カザピが高い信頼を寄せる高い技術力と整備とを有し、高いクオリティと量産性の両立を高次元でかなえている。
2023年に登場したフルゴールドのアクアレーサーでは、ケースバックをスケルトン化することでCal.TH31-00の雄姿を見せていた。しかし今回の新作では、アクアレーサー伝統のダイビングヘルメットをあしらったソリッドバックになっている。ヘルメットが必ず、6〜12時方向に正対するようになっているのが見事だ。時計のデザインに合わせて多角形を組み合わせたヘルメットデザインも2021年のものを踏襲しており、裏蓋において非常にモダンな空気を醸し出している。
ダイヤル&ベゼルカラーは、ブルーに加えてブラックとグリーンをラインナップ。前述のとおりそれぞれのダイヤルカラーに合わせて秒針の色は変えられており、水中での視覚効果と同時にデザイン上で与える印象も考慮しながら開発チームは慎重に選択したという。またブルーとブラックにはラバーストラップも用意されており、バリエーションも豊富だ。
ディテールの随所にヘリテージを受け継ぎながら、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300は、外装もムーブメントもより上質に進化を遂げた。
新型Cal.TH31-00は新設計ではあるが、歩度調整には伝統的な緩急針式を採用する。この点について「フリースプラング バランスは、このムーブメントでは十分な利点を提供しないのです」とブランドは語る。おそらく量産性とメンテナンス性の高さを優先した結果だろう。緩急針式はフリースプラングより製造が容易で、かつ特別な工具なしで世界中どこでも調整が可能だ。そして、Cal.TH31-00の製造・組み立てをAMTに委ねたのも英断である。設備投資や人員を増やすリスクが避けられるからだ。前述したようにRef.844は、他社を圧倒する高いコストパフォーマンスで大ヒットを遂げた。第6世代となった今年の新生アクアレーサーも、マニュファクチュールムーブメントを分業化することでコスト削減をかなえ、上質で高性能なダイバーズウォッチを価格的に身近な存在にしてみせたのである。
今作アクアレーサー プロフェッショナル300において、タグ・ホイヤーは“冒険とラグジュアリーの融合”を目指したという。ヘリテージに根ざしたデザインや豊かなダイヤル表現においてそれにふさわしい美的表現をかなえているが、同時に探検家を支える快適性に堅牢性、そしてツールとしての高い実用性も担保している。そのスピリットは、ダイバーズウォッチとしての堅実な進化を続けていた1980年代に続くものである。アクアレーサーは1900年代後半から続く、タグ・ホイヤーのダイバーズにおいて正統な系譜にあるモデルなのだ。
今回はこれまでで最大のアップデートが施されている。2021年6月、MB&Fの創設者であるマクシミリアン・ブッサー(Maximilian Büsser)氏がサプライヤーやコレクターコミュニティに比較的手に取りやすい価格の時計をメールで共有したことから始まったこのモデルは、過去3年間で4つのバリエーションを生み出してきた。M.A.D.1は手首を回転させることなくサイドから時刻を読めるようにした時計であり、これまではケースの縁部分を回転するふたつのバレルで時と分を表示したものである。時計のトップには円を描きながら高速で回転する片方向巻き上げ式のローターブレードがあり、それが大きな視覚効果を生み出していた。この時計はこれまでに何度もカラーチェンジを繰り返してきたが、毎回魅力的なモデルに仕上がっていた。
M.A.D.1.S.
さて、このM.A.D.1Sはジムで鍛えたかのように少しスリムになったようだ。新しいリリースではマックス・ブッサー氏の手により、直径42mmに厚さ15mmと前モデルに比べて20%ほど薄くなった。また初めてスイス製ムーブメント(従来の日本製ミヨタ821Aではなく、改良されたラ・ジュー・ペレのG101)を搭載している。さらに厚さを削減するために、アワーディスクの回転だけで時刻を知らせるシンプルなシングルバレルでの表示が採用された。ラグも細くなり、パテックフィリップスーパーコピー時計 代引き上から見ても横から見ても以前ほど威圧的な印象を与えない。
M.A.D.1.S.
M.A.D.1Sは限定モデルではないが、今回のロットでは一般販売分として一定数のみが生産される。M.A.D.1Sの一部にはパープルのアクセントがあるモデルがあり、これはMB&Fのサプライヤーや既存の顧客にのみ提供される予定だ。その他のモデルにはアイスブルーのアクセントが施され、過去のリリースと同様に1500本が抽選で割り当てられる。ただし将来的に追加生産が行われる可能性もある。その抽選はシステムの不正操作やボットの使用がないよう監視され、独立した執行官によって監視されるため、誰もが公平なチャンスを得ることが可能だ。価格は2900スイスフラン(日本円で約50万円)で、抽選へのエントリー期間は8月27日(水)から9月2日(月)までとなっている。
M.A.D.1.S.
我々の考え
さあ友よ、待ちに待ったこの瞬間がやってきた。今回は本当に興奮している。M.A.D.1は以前から私のレーダーに引っかかっていた。私はマックス・ブッサー氏とMB&Fの大ファンだが、その価格帯から彼の時計デザインの粋を体感することはまずありえないと思っていた。だからこそM.A.D.1は特別なのである。多くの人々が突然、手首の上でブッサー氏の創造性に触れるチャンスを得ることができたのだ。しかし、同じように考えたのは私だけではなかった。
最初のM.A.D.1では1500本の時計に対して1万9000人の応募があった。2回目のリリースでは、同じ本数に対して2万2000人が殺到した。さらにこの時計は手ごろな価格帯の時計に贈られるGPHGチャレンジ賞も受賞している。そして(あなた方の多くと同様に)私も以前その抽選には外れてしまった。しかしこの新しいモデルを見ると、(もし今回当たるのならば)これまでの待ち時間には価値があったように思える。
M.A.D.1.S.
これまでは、抽選に外れても比較的平気だった。これは最大級に奇抜な時計であり、比較的手ごろな価格とはいえ厚さ18.8mmの時計をどれほどの頻度でつけるかは疑問に感じていたからだ。運の悪さをごまかすために、「この値段なら、もっと身につける可能性が高い時計があるはずだ」と自分に言い聞かせたりもした。しかし今作では時計がスリムになり、写真で判断する限り3.8mmの数値以上に薄く見える。確かにより正確に時間を把握するための分表示のトラックがなくなったため、精度が若干犠牲になっているが、これは精度が重要なポイントとなる時計ではない。ケースの側面を見て「だいたい7時18分くらいかな」と思うだけで十分だろう。パリ・デュコヴィック(Pari Dukovic)風のスタイリッシュな写真では分かりにくいが、洗練されたラグも時計を視覚的にスリムに見せるのに役立っている。
M.A.D.1.S.
もしかしたらこれが3度目の正直(もしくは4度目か……、いずれにせよ)かもしれない。私は今回も確実にエントリーするつもりであり、抽選が締め切られる前にこの時計を実際に見て、さらに考えを深めたいと思っている。その時が来れば、皆さんがどこで見つけられるかはご存じのはずだ。ああ、忘れる前にもうひとつ。プレスリリースでチームが新たな情報をちょっとだけ教えてくれた—M.A.D.2も近々登場予定とのことだ。
M.A.D.1.S.
基本情報
ブランド: M.A.D. エディション(M.A.D. Editions)
モデル名: M.A.D.1S
直径: 42mm
厚さ: 15mm
ケース素材: 316L ステンレススティール
文字盤色: 関係諸氏および The Tribe(MB&Fのオーナーズクラブ)メンバーはパープルのアクセントのモデルを、一般はアイスブルーのアクセントのモデルを販売
インデックス: サイドから見るシングルバレル表示
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: SS製フォールディングバックル付きレザーストラップ
M.A.D.1.S. Movement
ムーブメント情報
キャリバー: 改良を施したラ・ジュー・ペレG101
機能: 特殊な回転式アワートラック
直径: 11 1/2リーニュ(約26mm)
厚さ: 4.45mm
パワーリザーブ: 68時間
巻き上げ方式: 自動巻き(片方向巻き上げ式)
振動数: 2万8800振動/時
石数: 24
追加情報: 両面に無反射コーティングを施したミネラルガラスとサファイアクリスタルを使用
価格 & 追加情報
価格: 2900スイスフラン(日本円で約50万円)
発売時期: 抽選へのエントリー期間は8月27日(火)から9月2日(月)まで
限定: なし、しかしこのロットはわずか1500本のみ
非常に魅力的な価格の本格的なダイバーズウォッチを探しているとき、必ず話題に上るのがオリス アクイスだ。絶えずファンを生み出し(まさに熱狂的なファンと言えるだろう)、さまざまなバリエーションを展開しているこのモデルに、今日、リデザインされたクロノグラフが加わった。Geneva Watch Days 2024に向けて登場したこのオリス アクイス クロノグラフは、オリスを愛する熱心なコレクターや時計愛好家にとって、魅力的なポイントをおさえた改良が加えられている。
ダイバーズ65コレクションがヴィンテージ風の美学で人気を博している一方、アクイスラインは常にオリスのモダンなツールウォッチとしての役割を果たしてきた。しかし、最近のアクイスにおけるオリスの本当の魅力はその意匠にある。2024年、時計愛好家はもはや巨大なダイバーズウォッチを求めなくても、十分にモダンな感覚を味わうことができる。その鍵は、手首での存在感とつけ心地のバランスを見つけることだ。オリスは今年4月に発表したアクイス デイトのアップデートで、このバランスを見事に実現。オメガスーパーコピー 代引きそして今日発表されたアクイス クロノグラフにも同じ手法が生かされていることが分かる。
今回の主な特徴は、ケースサイズが43.5mmの直径と16.2mmの厚さに縮小されたことである。これはしっかりとした存在感を持ちながらも、快適に着用できる絶妙なバランスを目指したものだ。45.5mm径、18.5mm厚と比較するとその違いは明らかだ。新しいアクイス クロノグラフは、2019年のブルーホエールLEのデザインを踏襲し、カタログの中核に“スマイリーフェイス”のインダイヤルレイアウト(3・6・9時位置)を取り入れている。アクイス デイトの改良と同様に、ケースとベゼルは見た目に軽くなるよう微調整され、ブレスレットもわずかにテーパーがかかっている。ケースサイズがやや小さくなったこととわずかなケースの調整により、ラグからラグまでのサイズは54mmから51mmへと縮小された。逆回転防止ダイバーズベゼルにはセラミックインサートが使用され、アクイスとして当然ながら300mの防水性能を備えている。
内部にはオリスCal.771(セリタSW510がベース)が搭載されており、これは2019年の限定モデルや前世代のアクイス クロノグラフと同じキャリバーである。ただし、今回はパワーリザーブが約48時間から約62時間に延長されている。日付表示はグラデーションブルーのダイヤルに近いトーンで、6時位置に控えめに配置されている。
新しいオリス アクイス クロノグラフは、現在販売中。限定モデルではなく、価格は74万8000円(税込)である。
我々の考え
ここまでの記事では以前のバージョンに言及してきたが、アクイス クロノグラフが登場するのは数年ぶりであることを強調する価値がある。ブルーホエールLEは今回のモデルと似たダイヤルを備えていたが(ただし4時30分位置に日付窓があった)、このモデルは3本セットのうちのひとつとして200本限定で販売されたものだった。それより前の旧作、“スタンダードな”アクイス クロノグラフのインダイヤルは12時、6時、9時位置に配置されていた。いずれのモデルも先述した大型ケースに収められており、アクイス クロノグラフの数年にわたる沈黙が今回の新作リリースを一層興味深いものにしている。
オリスがこのモデルを再び投入したのは賢明な判断であり、特に最近のアクイスコレクション全体に施されたケースやブレスレットの変更を考慮すれば、その意図がよく分かる。新しいアクイス クロノグラフは、最新のアクイス デイトモデルに心引かれるオリスファンにぴったりの位置付けで、ダイバーズ65 クロノグラフと対をなす美しさを備えている。
基本情報
ブランド: オリス(Oris)
モデル名: アクイス クロノグラフ(Aquis Chronograph)
型番: 01 771 7793 4155-07 8 23 01PEB
直径: 43.5mm
厚さ: 16.2mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: グラデーションブルー
インデックス: アプライド
夜光: インデックスと針にホワイトのスーパールミノバ
防水性能: 300m
ストラップ/ブレスレット: オリス特許のセキュリティフォールディングクラスプを備えたマルチピースSSブレスレット、微調整とエクステンション機能付き
ムーブメント情報
キャリバー: オリス771
機能: 時・分・スモールセコンド、ファインタイムチューニング、秒針停止機能、日付表示、クロノグラフ(30分計、12時間計)
直径: 30mm
厚さ: 13.25mm
パワーリザーブ: 約62時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 27
価格 & 発売時期
価格: 74万8000円(税込)
発売時期: 発売中