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ローラン・フェリエほど、クラシカルでありながらモダンなテイストをあわせ持つブランドはほかにない。

2023年01月25日(水)12時42分

同ブランドは特に人気の高いふたつのコレクションを融合させ、ブランドらしさを余すところなく表現した新モデルをGeneva Watch Days 2024を皮切りに発表した。ローラン・フェリエを知っている人ならクラシック マイクロローターもよくご存じのはずだ。これは革新的な時計技術と最高級の仕上げを兼ね備えている。過去数年間におけるブランドのリリースを振り返ると、一体型ブレスレットを備えたスポーツ オートに明確な重点が置かれており、ブランドのデザイン言語を新たな時計カテゴリーへと見事に拡大している。

本日発表されたローラン・フェリエのクラシック オートは、クラシック マイクロローターとスポーツ オートを見事に融合させたモデルだ。その結果は驚くほど調和している。ケースのシェイプ、針、ダイヤルのインデックスはクラシック マイクロローターからインスピレーションを受けており、一方でムーブメントや十字ダイヤルのディテール、そして日付表示窓はスポーツ オートから受け継がれている。すべてが一体となって、ブランドが理想とする日常使いに最適な時計が完成したのだ。

初代クラシック オートにおいて、ロレックススーパーコピー時計 代引きローラン・フェリエはヴィンテージウォッチの温かみあるトーンを意識したサーモンカラーダイヤルを採用した。中央部分はバーティカルサテン仕上げが施され、外周のミニッツトラックには円形のサテン仕上げを採用。絶妙なツートンの外観が特徴だ。細長く緩やかに傾斜した日付表示窓は、視線を自然に引き寄せるとともに、細長いインデックスとの対称性を保つ役割を果たしている。アセガイ型の針とドロップ型のインデックスはどちらも18Kホワイトゴールドで仕上げられ、手首の印象を引き締めてくれる。ケースはステンレススティール製で、直径40mm、厚さ11.94mmとバランスの取れたプロポーションを持つ。

クラシック オートにはローラン・フェリエの自動巻きCal.LF270.01が搭載されている。同ムーブメントは以前スポーツケースにのみ搭載されていたもので、設計、装飾、組み立て、調整はすべてブランドの工房で行われている。なおローラン・フェリエの特徴であるナチュラル脱進機ではなく、耐衝撃性を考慮してスイスレバー脱進機が採用。Cal.LF270.01は、139もの手作業による仕上げ工程を経てひとつのムーブメントが完成する。これらの精緻な仕上げはシースルーバック越しに鑑賞可能だ。プラチナ製のマイクロローターは、フルに巻き上げると約72時間のパワーリザーブを確保できる。

クラシック オート サンドストーンは、ローラン・フェリエの“セリエ アトリエ”プログラムの一環として提供されている。このプログラムは限定20本のナンバリングされたモデルが、5万スイスフラン(日本円で約855万円)の価格でブランドから直接販売される。これにより、コレクターは通常よりも短い納期で手に入れることができるのだ。このセリエ アトリエプログラムは2020年から実施されており、これまでの限定生産品はすべて完売している。

我々の考え
2009年の創業直後、ローラン・フェリエは時計業界の寵児となった。若いブランドでありながら、2010年にはクラシック トゥールビヨン ダブルスパイラルでGPHG(ジュネーブ時計グランプリ)のベストメンズウォッチ賞を受賞し、一躍注目を浴びた。その後、ローラン・フェリエはクラシックなシェイプをもとに、さまざまな複雑機構やダイヤルカラーを取り入れたモデルを発表し、ファンを獲得していった。しかしある時期から時計業界はほかに目を向けるようになり、ローラン・フェリエにスポットライトが当たることはなくなった。それでもローラン・フェリエは歩みを止めなかった。ブランドは卓越した仕上げと伝統的なデザインを追求し続けたのである。

現実として、クラシックなデザインと仕上げを持つ腕時計がこの価格帯で提供されると、やがて飽和状態に達することがある。ローラン・フェリエにも同様の状況が起きたのだ。洗練されたクラシックなデザインを守り続ける姿勢は、一体型ブレスレットのスポーツウォッチといったトレンドへの挑戦に際して、注目を集めることもあれば逆に関心が薄れることもある。コレクターの好みがそのブランドのデザインに合っているときは順調だが、スポーツウォッチが流行しているときにはローラン・フェリエのようなブランドが優先されないこともある。これは当然のことだ。

私はこのブランドの大ファンであり、ローラン・フェリエへの注目が再び高まっているのを実感している。全体的な流れで見ると、時代の流れがローラン・フェリエに向かっており、タイムレスなデザインや全体的な“ドレス”の美学に焦点が当たっているようだ。もしブランドが今日のクラシック オート サンドストーンやWatches & Wonders 2024で発表したクラシック ムーンのような素晴らしい製品を作り続けることができれば、ローラン・フェリエは“復活”への道を順調に進むだろう。新作は美しく魅力的であり、ローラン・フェリエのデザインを少しアレンジしながらも、コレクターが期待する要素をしっかりと提供している。

現在のローラン・フェリエにはまさに、“まず先につくれば、そのあとで客が来るだろう”という状況が訪れている。注目に値する瞬間だ。

基本情報
ブランド: ローラン・フェリエ(Laurent Ferrier)
モデル名: クラシック オート サンドストーン(Classic Auto Sandstone)
型番: LCF046.AC.B2G1

直径: 40mm
厚さ: 11.94mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: 銅色調のラッカー仕上げ
インデックス: 18Kホワイトゴールド
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ダークブラウンのカーフレザー、同色系のアルカンターラライニング

ムーブメント情報
キャリバー: LF270.01
機能: 時・分・スモールセコンド、日付表示
直径: 31.6mm
厚さ: 4.85mm
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 31
部品点数: 215

価格 & 発売時期
価格: 5万スイスフラン(日本円で約855万円)
発売時期: すぐに
限定: あり、世界限定20本

モーザーが若手イギリスブランドと手を組み、フルーティーな限定モデルを発表した。

2023年01月21日(土)12時37分

H.モーザーは、イギリスの若手ブランドであるスタジオ・アンダードッグとの限定コラボレーションモデル、“パッションフルーツ”ウォッチのペアをリリースした。エンデバー・パーペチュアルカレンダー パッションフルーツは、ブランドのよく知られたプラットフォームをベースにしており、スタジオ・アンダードッグの03シリーズ パッションフルーツは、モノプッシャークロノグラフ機能を備えたモデルである。このパッションフルーツペアはセットでのみ販売され、限定100本となる。

このパッションフルーツのペアは、トロピカルフルーツであるパッションフルーツの深い紫色と鮮やかな黄色を取り入れている。エンデバー・パーペチュアルは、モーザーのよく知られたミニマルなパーペチュアルカレンダーフォーマットを採用している一方で、03シリーズ クロノグラフはスタジオ・アンダードッグとその創業者リチャード・ベンク(Richard Benc)氏との意外なコラボレーションである。

昨年の02シリーズ フィールドウォッチに続く03シリーズでは、約63時間のパワーリザーブを持つ手巻きキャリバー、スーパーコピー時計 代引きセリタ製SW510 Mを搭載したモノプッシャークロノグラフを採用したことで、ブランドが再び進化を遂げた。コラボレーターたちはこの多層ダイヤルを“粗いグラデーションのアンバーとロイヤルパープル”と呼んでいる。リューズの上、2時位置にプッシャーがあり、9時位置にはスモールセコンド、3時位置にはパープルカラーの30分積算計を配置。なおセリタ製ムーブメントはサファイアシースルーバックをとおして見ることができる。このデザインはスタジオ・アンダードッグの最初のクロノグラフシリーズに似ているものの、H.モーザーらしいシンプルさが取り入れられており、ロゴが省かれている。各ブランドによれば、パッションフルーツの種を表現するためにそれぞれのパッションフルーツにはグリーンのタッチを施しているという。03シリーズではクロノグラフ秒針の先端にその緑があしらわれている。

スタジオ・アンダードッグとのコラボに加え、H.モーザーはエンデバー・パーペチュアルカレンダーの新たなバージョンも発表した。新作のダイヤルには、エンデバー・パーペチュアルの過去のバージョンでおなじみであったパープルラッカーとグラン・フー エナメルを採用。ムーブメントにはモーザーの自社製Cal.HMC 800が搭載されている。私たちは2015年にこの革新的なパーペチュアルカレンダーを1週間着用してレビューを行い、昨年はタンタル素材を用いたモデルも紹介したばかりのため、その仕組みをここで詳しく説明することは避けるが(スペック欄に概要を記載している)、これはパーペチュアルカレンダーを楽しくミニマルに、そしてデザイン重視で解釈したものなのだ。

新しいパッションフルーツエディションは世界限定100本。ペアのみの販売となり、価格は1056万円(税込予価)である。

これは見た瞬間気に入った。特にスタジオ・アンダードッグのクロノグラフにひと目惚れした。ただ最後の部分を読んでがっかりした。ペア販売のみだって? そんな! 楽しくて、モーザーのなかで最も手が届きやすい時計になるはずだったのに、結局はモーザーのパーペチュアルカレンダーを買えるような限られた人だけの特別なセットになってしまったのだ。

それでも、このコラボには依然としてワクワクしている。今回で3度目のリリースとなるスタジオ・アンダードッグは、さらに高級市場へと進化し、単なる1度や2度の成功ではないことを証明した。昨年のフィールドウォッチも楽しめたし、今回のモーザーとのコラボレーションもどんな仕上がりになったのか、とても楽しみにしている。

一方で、モーザーはスイス時計業界に新風を吹き込み続けている。H.モーザーとスタジオ・アンダードッグは、まさにデザインの相性が抜群な組み合わせだ。スタジオ・アンダードッグは若くて楽しく、手ごろな価格で、モーザーのユーモアたっぷりのミニマリズムと完璧に調和している。かつてH.モーザーの独特のスタイルは、スイスの本格的な時計製造技術に支えられ、時計業界で最も新鮮な存在のひとつだった。今ではスタジオ・アンダードッグがそのバトンを受け取り、新進気鋭のブランドのひとつとなっているようだ。

この100本のクロノグラフはすでに(あるいはほとんどが)顧客の手に渡っていると思うが、これが両ブランドの最後のコラボにならないことを願っている。

基本情報
ブランド: H.モーザー×スタジオ・アンダードッグ(H. Moser and Studio Underd0g)
モデル名: エンデバー・パーペチュアルカレンダー パッションフルーツ(Endeavour Perpetual Calendar "Passion Fruit")
型番: 1800-1200

直径: 42mm
厚さ: 12.8mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: サンバーストパターンが施されたパープルラッカーダイヤル、槌目仕上げのマラクージャ フュメ グラン・フー エナメル、18Kイエローゴールドのベースダイヤル
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ブラックのアリゲーターレザーストラップ、SS製フォールディングクラスプ

モデル名: 03シリーズ パッションフルーツ(03Series Passi0n Fruit)
型番: 03PFB

直径: 38.5mm
厚さ: 12.6mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: 上部はグラデーションアンバー、下部は放射状のサテン仕上げが施されたロイヤルパープル
ストラップ/ブレスレット: ストラップテーラーによる手縫いのブラックエプソンカーフレザーストラップ

ムーブメント情報
h. moser passionfruit movements
ムーブメント側。クロノグラフ(左)とパーペチュアルカレンダー(右)。

エンデバー・パーペチュアルカレンダー パッションフルーツ
キャリバー: HMC 800
機能: 時・分・スモールセコンド、パーペチュアルカレンダー(日付・月・うるう年表示)、パワーリザーブインジケーター
直径: 34mm
厚さ: 6.3mm
パワーリザーブ: 約7日間(ツインバレル)
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 1万8000振動/時
石数: 32

03シリーズ パッションフルーツ
キャリバー: セリタ製SW510 M
機能: 時・分・スモールセコンド、モノプッシャークロノグラフ(30分積算計)
直径: 30mm
厚さ: 7mm
パワーリザーブ: 約63時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 23
追加情報: サイン入りのロジウムメッキブリッジ

価格 & 発売時期
価格: 1056万円(税込予価)
発売時期: 2024年10月日本入荷予定
限定: あり、世界限定100本(ペアでの販売のみ)

アルピナウォッチは新作モデルをいくつか発表したが、

2023年01月20日(金)12時31分

アルパイナー ヘリテージ カレやシーストロング ヘリテージの開発と発売を経て、アルピナは再び1920年代、30年代、40年代の人気デザインから多くのインスピレーションを受けたスティール製のフィールドウォッチを2種類リリースした(編注;日本展開未定)。

alpina heritage
ヘリテージ オートマチックは、写真上記ふたつのバージョンで提供される。38mmのスティール製ケース(厚さ10.15mm)を持ち、違いはダイヤルの仕上げのみである(ラグからラグまでの長さは記載されていないが、提供可能なスペックは以下にすべて記載されている)。どちらのケースもポリッシュ仕上げが施されたSS製ケース、リシャールミル スーパーコピーぷっくりしたサファイア風防、そしてソリッドSSの裏蓋を備えるなど、ヴィンテージ感をしっかりと捉えている。

そのSS製ケースの内部には、アルピナが調整したセリタ製SW200-1をベースにしたムーブメント、AL-520が搭載されている。同ムーブメントは2万8800振動/時(4Hz)で振動する自動巻きであり、約38時間のパワーリザーブを持つ。

alpina heritage
どちらも限定モデルではなく、価格はどちらのバージョンも1795ドル(日本円で約26万円)である。なお今年の10月から販売が開始される予定だ。

我々の考え
このふたつの新しいアルピナには多くの共通点があるが、ダイヤルデザインは大きく異なる。ひとつはベージュとタンカラーのアラビア数字を採用したモデル(Ref.AL-520BG3SH6)、もうひとつはベージュのインナーとシルバーのアウタートラックを持つ2セクターダイヤルで、アラビア数字とバトンインデックスが組み合わさったモデル(Ref.AL-520SBG3SH6)である。どちらの時計も日付表示はなく、時・分・秒の針はブルースティール製だ。

alpina heritage
 アルピナがハミルトンのように、広く知られたカーキ フィールド オートマチックを意識したモデルをつくるかもしれないと考えていた。ただエレガントで道具然としていないこのアプローチが、着用感を損なうことなく(かなり高額ではあるものの)ひとつの選択肢を提供していると認めざるを得ない。38mm径×10.15mm厚というサイズは多くの手首にフィットし、さまざまなお気に入りのストラップと組み合わせることもできる。

 この新しいアルピナ ヘリテージ オートマチックは革新的なリリースではないが、ドレスウォッチというよりむしろスポーツウォッチから直接進化したような、デイリーユースのドレッシーな時計をふたつの魅力的なモデルとして提供している(パテックに聞けば分かるように、このフォーマットは優れた選択肢である)。

alpina heritage
 2000ドル(日本円で約30万円)をはるかに下回る価格で、僕は間違いなくオールアラビア文字盤が好きだ。ベージュのカラーリング、ヴィンテージアルピナのサイン、そしてブルーの針が相まって、とても魅力的で繊細な時計に仕上がっていると思うのだ。

基本情報
ブランド: アルピナ(Alpina)
モデル名: ヘリテージ オートマチック(Heritage Automatic)
型番: AL-520BG3SH6(アラビア数字)、AL-520SBG3SH6(セクターダイヤル)

直径: 38mm
厚さ: 10.15mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ベージュまたはベージュ&シルバー
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ブラックカーフレザーストラップ、スティール製ピンバックル

alpina heritage
ムーブメント情報
キャリバー: AL-520(セリタ製SW200-1ベース)
機能: 時・分・センターセコンド
直径: 25.6mm
パワーリザーブ: 約38時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26

価格 & 発売時期
価格: 1795ドル(日本円で約26万円)
発売時期: 2024年10月(編注;日本展開未定)

ハミルトン カーキ フィールド クォーツが新登場!

2023年01月09日(月)12時47分

ハミルトンはフィールドウォッチの王者である。エディター同士の会話でエントリーレベルのスイス製時計が話題に上がる際、カーキフィールドはほぼ必ず名前が挙がる。ハミルトンはクォーツムーブメントを搭載したカーキ フィールドの新しいコレクションを発表した。同コレクションはどこへでも持ち運べ、何にでも対応できるスイス製ツールウォッチを、より手ごろな価格で提供している。今回は38mmと33mmの両サイズでコレクションが展開された。これはより広い層のユーザーに向けた、ユニセックスのオプションを提供するためであることは間違いない。

約1カ月前、同僚のマーク・カウズラリッチがハミルトンのカーキ フィールド メカニカル 38mmに投入された3つの新ダイヤルについて記事を書いた。IWCスーパーコピー時計 代引きそのなかで特に私の目を引いたのはホワイトダイヤルだったが、今回のリリースを通じてカーキ フィールドの多くのバリエーションにおいてホワイトダイヤルが定着しつつあるようだ。この新しいカーキ フィールド クォーツラインにはホワイト、ブルー、ブラックの3色があり、ダイヤルと針にはそれぞれ異なる色調のスーパールミノバが使われている。具体的に、ホワイトダイヤルには“オールドラジウム”色のスーパールミノバを、ブルーダイヤルには白色のスーパールミノバを、そして2種類あるブラックダイヤルにはそれぞれグリーンもしくは“オールドラジウム”色のスーパールミノバが組み合わされている。なおホワイトダイヤルの針とインデックスは黒で縁取られており、コントラストをより高めている。

“オールドラジウム”色の夜光。

ホワイトダイヤルとオールドラジウム夜光を備えたブラックダイヤルには、グリーンのテキスタイルストラップが組み合わされている。一方、ブルーダイヤルと非オールドラジウムの夜光を備えたブラックダイヤルには、ダイヤルに合わせた色のテキスタイルストラップをセット。これらのストラップはカーキ フィールド ラインの特徴であり、レザーのキーパーがついていることで少し高級感を感じさせる仕上がりになっている。

1960年代後半に製造された、オリジナルのハミルトン G.S. ウォッチ。

アナログシフト(AnalogShift)で販売された、1980年代製造のカーキウォッチ。

新作は“カーキ”ロゴが追加されているが、ダイヤル全体で見るときわめて小さく配置されている。

ハミルトンはこの新しいカーキ フィールド クォーツのデザインを、1960年代のハミルトン G.S.(ジェネラルサービスの略)モデルに由来すると話す。このモデルは英国政府の非軍事関係者向けに製造された時計であり、ヴィンテージのミリタリー美学を強く反映している。たしかに各要素は現代的にアレンジされており、コントラストが向上したダイヤルや、視認性を高めるためのレイルウェイミニッツトラックなどもある。アラビア数字は大きくて太く、オリジナルよりも比例して大きくなっているようだ。新作は、ダイヤル中央下にあった“G.S.”の代わりにスタイリッシュなカーキロゴを配置。これは1980年代に市販されたカーキ フィールドを参考にしたデザインであるようだ。

すべてのバリエーションはサイズに関わらず、6万4900円(税込み)で購入可能である。

我々の考え
このリリースはハミルトンにとって特に革新的なものではないが、製品ラインナップにうまく収まっている。カーキ フィールドラインにおいて、ハミルトンは過去数年間で700~1200ドル(日本円で約10万~17万円)の価格帯で製品群を強化してきており、ときにはチタン製バージョンでその価格帯の最上位に位置することもある。

この新しいコレクションにより、クォーツはもはや妥協や“安価な選択肢”という印象を与えない。デザインは十分に独自性を持っており、ラインナップのなかでも際立っていると思う。6万4900円(税込)という価格は提供される製品に対して妥当だと感じる。ハミルトンのウェブサイトに掲載されているすべてのカーキ フィールド クォーツウォッチを見ていると、この新しいクォーツモデルでついに、カーキ フィールド メカニカルの最新デザインに統一されたのだろう。

1990年代製のカーキ フィールド 33mm。ワナ・バイ・ア・ウォッチ(WannaBuyAWatch)で販売されたもの。

デザインの観点から言うと、私はこれらの時計をとても気に入っている。まず歴史的な背景を考えると、特別にデザインされたカーキロゴが非常にいいアクセントになっていると思う。また小さいサイズが35mmや36mmではなく、33mmで登場したのもとても素晴らしいアイデアだ。これはかつてそのサイズで製造されていたヴィンテージのカーキ フィールドをすぐに思い起こさせる。以前、友人が見つけたヴィンテージカーキ フィールドを見て、その小ささに驚いたのを覚えている。ただしひとつだけ気になるのは、視認性を最適化するために、ダイヤルにあるカーキロゴや数字のバランスが、オリジナルの時計にあったヴィンテージの魅力を少し失っているように感じたことだ。

全体的にこれらのデザインはとても好感が持てるものであり、幅広い層に受け入れられるだろう。スイス製ツールウォッチの世界に初めて足を踏み入れる人にとって、これは完璧なエントリーモデルとなる。しかしここで疑問が生じる。メカニカルモデルに2万900円のアップグレードをする価値があるだろうか。

基本情報
ブランド: ハミルトン(Hamilton)
モデル名: カーキ フィールド クォーツ(Khaki Field Quartz)
型番: 33mm/H69301910(ホワイト)、H69301940(ブルー)、H69301430(ブラック)、H69301930(ブラック、オールドラジウム)。38mm/H69401910(ホワイト)、H69401940(ブルー)、H69401430(ブラック)、H69401930(ブラック、オールドラジウム)
ムーブメント:クォーツ

直径: 33mm、38mm
厚さ: 7.5mm(33mm)、8.3mm(38mm)
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ホワイト、ブルー、ブラック
インデックス: プリント
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 5気圧防水
ストラップ/ブレスレット: テキスタイル製NATOストラップ、各色に合わせたレザー

ドクサから限定のサブ 300T プロフェッショナル アリステラが登場

2023年01月07日(土)12時35分

サウスポーのドクサファンよ、団結せよ! ドクサがジュネーブ・ウォッチ・デイズの一環として、ブランド初の左利き用(レフティー)モデル、サブ 300T プロフェッショナル アリステラを発表した。この新モデルは300本限定で、“プロフェッショナル”オレンジカラーのみで展開され、特徴的なアルミニウム製ベゼルインサートを備えている。

興味を持っている方のために説明すると、“アリステラ”はギリシャ語で“左”を意味し、ドクサの名前自体もギリシャ語で“栄光”を意味している。名称はともかく、このレフティーの300Tは、ドクサのスタンダードラインナップを支える多くの要素を引き継いでいる。スティール製ケースは42.5mmで、厚さは14mm、ラグからラグまでは44.5mmだ。またヘリウムエスケープバルブ、1200m防水、そして(フレデリック・)オーブリー時代に着想を得たアルミニウム製ベゼルインサートを備えた逆回転防止ベゼルが特徴で、経過時間とスクーバダイビングの黎明期に由来するノーデコスケールの両方を表示する。

IWC スーパーコピーリューズがケースの左側に移動したにもかかわらず、ダイヤル(および日付)は標準的な位置のままである。これはムーブメントが左利き用のレイアウトに合わせて回転・改良されていることを意味している。この300Tの内部には、2万8800振動/時(4Hz)で動作するスイス製の自動巻きムーブメント、セリタ SW200-1を搭載しており、パワーリザーブは約38時間だ。

サブ 300T プロフェッショナル アリステラは300本の限定生産で、1本あたり2490ドル(日本円で約36万円)で販売。現在、ドクサまたは正規代理店を通じて予約注文が可能で、今年の10月に納品を予定している。

我々の考え
ドクサの限定版として、このモデルをとても気に入っている。300Tのクラシックな要素を損なうことなく、興味深く個性的なバリエーションを生み出していると感じるのだ。レフティーのレイアウトは少し奇妙ではあるが(もちろん、いい意味で)、アルミニウム製ベゼルというドクサファンにはすぐにわかるノンカジュアルな要素をさらに強調している点が素晴らしい。

このモデルは普通の人からしたら標準の300Tとほとんど同じように見えるため、ドクサコレクターのあいだでかなり人気が出るのではないかと予想している。そのなかには左利きの人も確実に含まれているだろう。それでも、数年前のレフティーGMTマスターIIと同様、本作は右手に時計をつける人だけにしか魅力を感じられないわけではないと思う。単純に、クールでマニアックな選択肢としての価値がある。

この新しい限定モデルの発表に加えて、ドクサは最近リリースした新しいダイヤルカラー、シー エメラルドが、サブ 300T、サブ 300、600T、さらにはサブ 300 カーボンを含む、ドクサの幅広いラインナップに展開されたことも発表した。

doxa dive watches
基本情報
ブランド: ドクサ(Doxa)
モデル名: サブ 300T プロフェッショナル アリステラ(Sub 300T Professional Aristera)
型番: 840.10.351.10-SE10

直径: 42.5mm
厚さ: 14mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: オレンジ
夜光: あり、針&インデックス&ベゼルのゼロポジション
防水性能: 1200m
ストラップ/ブレスレット: SSの製ビーズ オブ ライスブレスレット、NATOストラップ付属(ラグ幅20mm)

doxa sub 300T aristera
ムーブメント情報
キャリバー: セリタ SW200-1
機能: 時・分・センターセコンド、日付表示
パワーリザーブ: 約38時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25

価格 & 発売時期
価格: 2490ドル(日本円で約36万円)
発売時期: 2024年10月発売予定、ドクサ公式サイトまたはドクサ販売店にて予約販売
限定: あり、世界限定300本

世界で最も複雑な機械式時計を製造した技巧派であるヴァシュロン・コンスタンタン。

2023年01月02日(月)12時45分

伝統技術の活用・継承に対して真摯に取り組むメゾンでもある。時計や宝飾品の製作に用いられる装飾技法をたたえる“メティエ・ダール(Metiers d'Art)”は、グラン・フーやプリカジュールといったエナメル技法にジェムセッティング、彫金、ギヨシェ彫りなどを駆使して、時計という小さなキャンバスに美しい世界を描くコレクションだ。同社のタイムピースは、そのモチーフを決める際に文化や芸術、歴史などからインスピレーションを得るのが特徴で、さらにその表現が生きるような自社製ムーブメントを選び、伝統と技の融合から美しい高級時計を生み出してきた。

今回ヴァシュロン・コンスタンタンが題材に選んだのは、中国の伝統的なシンボル「海水江崖」だ。これは14世紀に誕生したという伝統的な文様で、うねる海と岩、そして岩にぶつかって砕ける波をグラフィカルに描き出す。皇帝の祭礼時の装束、陶磁器、建築物の装飾、家具などにこのデザインが取り入れられ、その威厳や権力を象徴するものとして尊重されてきた。ウブロスーパーコピー時計代引き 専門店その構図はかなり複雑であるため、逆に同社ならではのメティエ・ダールの表現力が生きた時計となっている。

なお、今回発表された時計の絵柄は、クロワゾネ・エナメルと彫金を用いた“メティエ・ダール 伝統的シンボルへ敬意を表して‐永遠の流れ(以降、永遠の流れ)”と、グラン・フー エナメル、彫金、ジェムセッティングを用いた“メティエ・ダール 伝統的シンボルへ敬意を表して‐月光(以降、月光)”の2種。それぞれに18Kピンクゴールドとホワイトゴールド製のケースが用意され、バリエーションは全部で4つ。各15本の限定生産となる。

ヴァシュロン・コンスタンタンがメティエ・ダールで用いるムーブメントは、主に3種ある。中央に彫金などを配置する場合は回転ディスクを用いるCal.2460 G4、絵柄をダイナミックに表現する場合は複層ダイヤルになるCal.1120 ATが選ばれる。しかし今回は平面上に広がる伝統的なシンボルを表現したいということから、時・分針のみのシンプルな自動巻きCal.2460 SSが選ばれた。ムーブメント径が26.2mmで厚さが3.6mmというコンパクトなサイズのため、時計のケース径も38mmという美しいバランスになった。ローターには波や潮の流れを思わせる繊細な彫金が施されており、完成度の高い時計となっている。

メティエ・ダール - 伝統的シンボルに敬意を表して - 永遠の流れ

永遠の流れで主体となる芸術技法はクロワゾネ・エナメルだ。日本では有線七宝と呼ばれる技法だが、もともとは中国に起源を持ち、景泰藍(けいたいらん)という名前で知られていた。明の景泰帝(1449〜1457年)の時代に最盛期を迎え、下絵に合わせて繊細な金線を折り曲げ固定し、それぞれの仕切りのなかにエナメルを入れて焼き上げるというもの。この作品では220本の金線を使用しており、これを敷き詰める作業だけでも50時間以上を要するという。

さらに美しい色に配合されたエナメルを筆を使って流し込み、工程ごとに高温で焼き上げる。失敗を許されない繊細な作業に70時間以上を費やした美しいダイヤルは、最後に半透明のエナメルコーティングを施して完成となる。この作品で描かれたのは、色鮮やかな植物に覆われた山の頂が高波に洗われている様子だ。山の背景には星空が輝いており、左右対称のドラマティックな作品に仕上がっている。

また色鮮やかなクロワゾネ装飾を際立たせるように、ベゼル部分には彫金が施されているが、渦巻で構成されるこのモチーフは、縁起が良いとされるコウモリをイメージしたものである。

メティエ・ダール - 伝統的シンボルに敬意を表して - 月光

色彩豊かな永遠の流れに対し、月光ではモノクロームの世界を表現した。ダイヤルは3つのパートからなり、背景部分はブルーのグラン・フー エナメルを施して海を表現。層を重ねるごとに焼き上げることで深みのある表情を引き出し、その上に施したくぼみにホワイトエナメルで繊細な波模様を描いている。また岩に当たって砕ける白波は、ブリリアントカットのダイヤモンドを238個も使用したジェムセッティングで表現。そして手前にそびえる荒々しい岩山を表現。ベースの金属部分に彫った溝にエナメルを施すシャンルヴェエナメルの技法を用いて立体感を演出する。
さらにベゼルにも74個のブリリアントカットダイヤモンドをセッティングし、月夜に浮かぶ美しい情景を表現した。

ファースト・インプレッション
近年、メティエ・ダールに力を入れるブランドが増えている。いわゆるコンプリケーションウォッチのトレンドが一巡し、技術的にも成熟したため、次なる高級時計の表現方法として力を入れているのだろう。その一方で、職人を育成してきたブランド側の努力は無視できない。メティエ・ダールの中心となるエナメル装飾職人は、後継者不足と伝統技術の継承の難しさ、そして高度な技術と経験が必要であることを理由に一時期かなり減少してニーズに対応できない時期もあった。しかし地道な育成プログラムのおかげもあり、多くのメティエ・ダール作品がつくられるようになった。そこには伝統的な装飾技術やその文化を守りたいという意識があったことは間違いない。

ヴァシュロン・コンスタンタンのメティエ・ダールにも文化保護といったメッセージもある。モチーフとするのは伝統や文化、干支、遺産などが多く、人類の英知を讃えようという一貫した姿勢があり、その荘厳な世界観に引き込まれてしまう。

2022年に発表された「メティエ・ダール 偉大な文明へ敬意を表して」は、ルーヴル美術館とのパートナーシップから生まれたもので、サモトラケのニケやアウグストゥス帝の胸像などの大きな彫金をダイヤルの中央にあしらう大胆な構成が話題となった。それに比べると今回のメティエ・ダール作品は、モチーフの美しさや壮大さを表現することに注力しているように思える。製作に際しては北京故宮博物院で副研究館員を務めた宋氏に協力を依頼し、何度もマニファクチュールの職人たちとセッションを重ね、文化的、歴史的意味までしっかり学んだうえで作品に取りかかったそうだ。その丁寧なプロセスが、完成度の高さに直結しているのは想像に難くない。


本作でもさまざまなメティエ・ダールの技法が用いられているが、やはり見どころはエナメル技法だろう。昨年、ヴァシュロン・コンスタンタン本社内にあるメティエ・ダール工房を取材させてもらったが、特に興味深かったのがエナメル技法だった。壁にはエナメルのカラーパッチが並んでおり、使用する塗料には1950年代のものもあるという。ダイヤル素材によっても発色が異なるため、理想の色を出すためには技術だけでなく、どれだけ多くの塗料を持っているかがカギになるそうだ。そしてこういったノウハウがクロワゾネの色鮮やかな配色や深みのあるブルーに生かされるのだ。

ヴァシュロン・コンスタンタンでは、多くのメティエ・ダール作品を作り続けることで、表現と創造性の幅を広げている。そして伝統的なモチーフを繊細な技術によって美しく表現することで伝統文化に対する敬意を示す。時計をアートとして昇華させるメティエ・ダールは、美しい文化遺産を世に知らしめる役割も果たすとともに、265年以上もの歴史を誇る老舗メゾンに連綿と継承されてきた時計づくりの技法を今に伝えている。

基本情報
ブランド: ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)
モデル名: メティエ・ダール - 伝統的シンボルに敬意を表して - 永遠の流れ&月光
型番:Ref.2400A/000R-H024、2400A/000G-H023(永遠の流れ)/Ref.2405A/000R-H022、2405A/000G-H021(月光)

直径: 38mm
厚さ: 9.88mm
ケース素材: 18Kピンクゴールド(PG)、18Kホワイトゴールド(WG)
文字盤: クロワゾネ・エナメル仕上げダイヤル&手作業の彫金を施したベゼル(永遠の流れ)/グラン・フー・エナメル仕上げ&手作業の彫金によるモチーフのダイヤルに238個のブリリアントカットダイヤモンドをセット(月光)
インデックス: なし
夜光: なし
防水性能: 3気圧
ストラップ/ブレスレット:ダークブルーまたはバーガンディのミシシッピアリゲーターレザーストラップ(同色系の手縫いサドルステッチ、アリゲーターレザーのライニング)、18KPGまたは18KWGのフォールディングクラスプ

ムーブメント情報
キャリバー: 2460
機能: 時・分表示
直径: 26.2mm
厚さ: 3.6mm
パワーリザーブ: 約40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 27
クロノメーター認定: なし
追加情報: ジュネーブ・シール取得、

価格 & 発売時期
価格: 要問い合わせ
発売時期: ●●●●●●●●
限定: 各世界限定15本。ヴァシュロン・コンスタンタンブティック限定モデル

コンスタンチン・チャイキン 総厚1.65mmのシンキング プロトタイプが登場

2023年01月02日(月)12時33分

見逃した方のためにお伝えすると、先日からGeneva Watch Daysが始まり、最初の大きなサプライズが公開された。ロシアのインディペンデントブランド、コンスタンチン・チャイキンが新しいプロトタイプウォッチ“シンキング(ThinKing)”を発表したのだが、その厚さはわずか1.65mmしかないのである。

“薄ければ薄いほどいい”という競争を追っていない方のために説明すると、シンキングはピアジェ、リシャール・ミル、ブルガリといったブランドが、機械式時計をどれだけ薄くできるかという挑戦を追ったものである。彼らのエンジニアリングとマーケティングの努力をひと言でまとめると、ピアジェはアルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨンで2mmに到達し、リシャール・ミルはRM UP-01 フェラーリで1.75mmを実現、さらにブルガリはオクト フィニッシモ ウルトラ COSC(文字どおりCOSC認定済み)を1.7mmまで薄くした。これらのストーリーはどれも一見の価値があるが、(コンスタンチン・チャイキンはまだ製品化前ではあるものの)シンキングは強烈な一手を打ち出したのだ。

明確にしておくと、この時計は現時点ではデザインとエンジニアリングの研究に近いものだということだ。画像(今後さらに多くが公開される予定)に映っているのはコンスタンチン・チャイキンが製品化に向けて製作したふたつ目のプロトタイプである。ここまでを前提に説明すると、シンキングは40mm径のスペシャルスティール(カルティエ スーパーコピーブランドの用語。詳細はできるだけ早く確認する予定だ)製ケースを採用し、ストラップを除いた重さは13.3gである。

シンキングのデザインは、コンスタンチン・チャイキンの“リストモン(時計の文字盤にキャラクターを取り入れたシリーズ)”デザインに基づいており、時計の機能が顔のように配置されている(最もよく知られているリストモンはコンスタンチン・チャイキンの“ジョーカー”シリーズだろう)。シンキングでは、ふたつの“目”が時と分を表示するダイヤルとなっており、“笑顔”はブランドサインでSSケースの前面に刻まれている(この刻印は時計の剛性を高めるために用いている)。

K.23-0ムーブメントは(最も現代的な超薄型デザインに見られるように)ケースに直接組み込まれている。これは1万8000振動/時(2.5Hz)で時を刻む、約32時間パワーリザーブの手巻きキャリバーであり、鍵や自動巻き上げ機能を持つ特殊なケースで巻き上げることが可能だ。K.23-0はスイスレバー脱進機、超薄型の特別な巻き上げ香箱、そして歯車付きクラッチを備えたダブルバランスシステムを特徴としている。ムーブメントの層を最小限に抑えることが真に薄い時計をつくるための鍵であることは言うまでもないが、コンスタンチン・チャイキンは機械式時計の概念を極限まで削ぎ落とし、(時計全体を)アメリカのニッケル硬貨よりも薄くすることに成功した。さらに、この時計には着用可能な保護ケースも付属している。

巻き上げ兼持ち運び用のケースはケースパランキングと呼ばれる。時計の裏蓋に取り付けることで、時計を保護しながらムーブメントを巻き上げる役割を果たす。ケースパランキングを使用したとしても時計を手首に装着でき、その状態でも全体の厚さはわずか5.4mmに収まる(この驚異的な技術は、以下の図で示されている)。このケースは、時計に危険がおよぶ可能性のある状況では必ず使用するよう推奨されている(おそらくこれは激しい動きがある場合を指していると思われるが、確認する予定だ)。

シンキングの開発では、巻き上げ香箱、ダブルバランスホイール、そしてストラップに関する3つの特許を取得している。そう、ストラップにも特許があるのだ。というのも時計があまりにも薄いため、着用時の圧力をストラップで部分的に分散させる必要があるのだという。そのため、コンスタンチン・チャイキンはストラップをアリゲーターレザーと弾性インサート、さらにチタン製のサポートで構成し、手首からケースへ伝わる衝撃やねじれ、曲げなどのストレスを軽減するよう設計した。

これはあくまでプロトタイプであるため、コンスタンチン・チャイキンは価格や発売時期について一切コメントしていない。そのためもし1.65mmの超薄型時計を求めているのであれば、しばらく待つ必要がある。

我々の考え
プロトタイプが大好きな僕は、子どものころコンセプトカーに夢中だった(特に97年のポンティアック レイジャス)。数あるメーカーのなかでもとくに小規模なブランドが、最終的な市販品ではなく、夢や進行中の作品を見せるというアイデアがたまらない。それはブランドがひとつの旗を立てるようなものだ。2024年のコンスタンチン・チャイキンにとって、それがたとえ宣伝目的であっても、シンキングのような大胆で実験的な時計を発表することはこれ以上ない素晴らしい一手だと感じる。

またシンキングはリシャール・ミルと異なり、見た目がほぼ時計らしい点も気に入っているし、コンスタンチン・チャイキンのデザインだとひと目でわかる点も魅力だと思う(このブランドの製品を知っている時計愛好家であればなおさら)。この時計は、単なる気まぐれなサイドプロジェクトや中途半端な技術デモのようには感じられず、きわめて薄い時計をつくる特別なプロジェクトの一端を垣間見る貴重な機会だ。

もちろん、量産品と非量産品の違いで記録が注釈付きになるかもしれないが、そもそもこういった製品を購入する予定がない僕にとってその違いはあまり重要ではない。これは非常にクールな時計製作のプロトタイプなのだ。価格や納期が決まったとしても、僕の印象が大きく変わることはないだろう(とはいえ実際に動いているところを見てみたいし、巻き上げ兼用のケースをもっと詳しく見られるとうれしい)。最も薄い時計デザインにおいては、ムーブメントの巻き上げや実際に着用するのに十分な強度を持たせることが主要な課題であり、シンキングは明白にその問題に対するひとつの解決策を提示した。

シンキングについては、近日中にさらに詳細な記事をお届けする予定だ。そしてこの発表で、コンスタンチン・チャイキンは脚光を浴びたに違いない。(プロトタイプではあるものの)新たなキングが登場した今、次にどのブランドが超薄型時計に乗り出すのか、興味深く見守りたいところだ。

基本情報
ブランド: コンスタンチン・チャイキン(Konstantin Chaykin)
モデル名: シンキング プロトタイプ2(ThinKing Prototype 2)

直径: 40mm
厚さ: 1.65mm
重量: 13.3g(ストラップ含まず)
ケース素材: スティール
文字盤: シルバー
ストラップ/ブレスレット: ブラックアリゲーターストラップ、弾性インサートとチタン製サポート

ムーブメント情報
キャリバー: K.23-0
機能: 時・分表示
パワーリザーブ: 約32時間
巻き上げ方式: 手巻きおよび鍵巻き
振動数: 1万8000振動/時
石数: 51
クロノメーター: なし
追加情報:

価格 & 発売時期
価格: 非売品(量産モデルの開発が進行中)

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